配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2005年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2004年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2003年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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研究概要 |
本研究は,入手容易なエポキシドのキラリティをカルバニオンに転写することを最終目的として行われたものである.不斉転写の鍵となるのは,当研究室で開発したエポキシシラン転位である.エポキシシラン転位とは,α,β-エポキシシランのγ位にカルバニオンを発生させると,エポキシドの開環に続くシリケート中間体の生成,Brook転位,生じたアリルアニオンの生成の一連の過程が連続的に進行し,β-シロキシアリルアニオンを与える反応である.不斉転写を実現するために以下のような研究を行った. 1.Brook転位を経るタンデム型の人員炭素環および複素環形成反応の開発 2.エポキシシラン転位の反応機構の解明 3.エポキシシラン転位を利用するカスケード型環形成反応の開発 4.エポキシシラン転位のアクロレイン-β-アニオン等価体としての利用 5.シリケート中間体の生成と安定性に関する研究 6.エポキシシラン転位で生成するアニオンの[2,3]-Wittig転位による捕捉 その結果,以下のような結果が得られた. 1.エポキシシラン転位を[3+4]アニュレーションに組み込むことが可能で,遠隔位への不斉転写が30〜50%程度のエナンチオマー過剰率で実現できた. 2.γ位にトリル基を有するα,β-エポキシシランがアクロレインβ-アニオン等価体として機能することを見出した. 3.エポキシシラン転位で生成するキラルカルバニオンが[2,3]-Wittig転位によって,ラセミ化することなく捕捉されることを明らかにした. 4.従来,存在し得ないと考えられていたニトリル基の隣接位のキラルカルバニオンを発生させることに成功し,カルバモイル基の存在によりその寿命が格段に延びることを発見した.
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