研究課題/領域番号 |
15390028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
植田 弘師 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00145674)
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研究分担者 |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60274635)
井上 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70380855)
水野 恭伸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40311865)
吉田 明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70257187)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
2004年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2003年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | ストレス / non-classical release / S100A13 / FGF-1 / 無血清 / Ca^<2+> / STI / NDI / 神経細胞死 / ネクローシス / 分泌 / 核移行 / 低酸素 / S100 |
研究概要 |
申請者らは神経細胞のストレス回避機構を担う新規神経保護蛋白質NDIを見出していた。NDIは、分泌小胞を介さない非古典的遊離(non classical release)であり、NDI同様に分泌小胞を介さない分子に、神経栄養因子であるFGF-1、生存活性を有しプリオンと相互作用するSTI等が知られている。これらに共通する遊離機構の解明は、神経細胞におけるストレス回避機構を明らかにする上で重要である。そこで本研究では非古典的遊離に関連する分子群を明らかにし、ストレス回避機構の一端を解明した。 FGF-1及びNDIは血清除去による飢餓ストレスによりアストログリア細胞、NG108-15細胞株、海馬由来神経細胞のいずれからも遊離もしくは遊離増強されることを見出した。特に通常、核のみに存在するNDIが、無血清・低酸素ストレスによって急速に細胞外へ遊離する事が明らかになった。この結果から、NDIの遊離機構には核から細胞質、細胞質から細胞外の2段階の機序が存在する事が想定された。ストレスによるNDIの核から細胞質への移行は、ATP依存的なインポーチンIによるNDIの核内輸送が、ストレスによるATP減少より、その輸送能が低下し、細胞質に貯留する事が実験的に明らかになった。FGF-1及びNDIの細胞質から細胞外への遊離は、輸送担体S100A13によって制御され、Ca^<2+>依存性のFGF-1及びNDIとS1OOA13との複合体形成が遊離に必須な機構であることが明らかとなった。更にこの複合体形成制御を担う細胞内Ca^<2+>濃度上昇は、電位開口性N型Ca^<2+>チャンネルが制御することを見出した。一方、プリオン関連蛋白質であるSTIは低酸素・低グルコース処置(OGD処置)によって遊離し、OGD処置によって誘導される神経細胞死の保護に働いている事が明らかになった。また、STIは非ストレス下でも常時微量が遊離しており、恒常的な細胞死からの抑制をしている事が示唆された。これら遊離機構の一部を阻害する事で無血清・低酸素ストレスによる神経細胞死が増大する事から、分泌小胞を介さない非古典的遊離は重要なストレス回避機構であると考えられる。
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