研究分担者 |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80150548)
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30194658)
磯濱 洋一郎 (礒濱 洋一郎) 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (10240920)
徳冨 直史 崇城大学, 薬学部, 教授 (30227582)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2004年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
未だに有効な治療法がない慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬の開発に向けた新たな薬理学的コンセプトの提唱を目的とし,本研究では,肺上皮細胞の分化および機能の調節機構を分子生物学的および分子薬理学的に検討した.まず,肺胞上皮細胞の分化に重要な転写因子として,ETS, Sp1およびSp3を見出し,これらの転写因子の活性調節機構についてもprotein kinase CおよびSp1/Sp3拮抗などを見出すに至った.また,気道炎症の形成に深く関わる好中球エラスターゼが炎症性サイトカインIL-8の発現を亢進するとともに,気道粘液成分の一種MUC1の転写を亢進することを見出し,そのシグナル伝達機構についても解明した.さらに,気道液の分泌に重要な役割を担うアクアポリン(AQP)の機能調節機構として,細胞内の局在変化が重要であることを明らかにし,その調節物質としてLPSを見出した.一方,上記の細胞生物学的な情報を踏まえ,慢性気道炎症に対する薬物療法としてはグルココルチコイドの有効性を考え,副作用の少ないグルココルチコイド様物質としてグリチルリチン(GL)を見出した.GLは,モルモット喘息モデル,慢性気管支炎モデルおよび肺線維症モデルを用いた動物実験において,著明な抗炎症作用および粘液産生抑制作用を示したが,重篤な副作用は生じなかった.さらにin vitroの実験系でも,グルココルチコイドの反応亢進および炎症性サイトカインの産生抑制作用などを確認した.これらの成績は,慢性炎症に基づくCOPDの治療における抗炎症および組織修復に向けた画期的な新コンセプトとして,今後実用化に向けた研究がなされるべき重要な基礎データである.
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