研究課題
基盤研究(B)
われわれはヘルパー依存型アデノウイルスベクターを用いて、膵内分泌細胞の分化誘導遺伝子NeuroD/betacellulinを糖尿病マウスの静脈内に投与する事で、マウスの肝臓内にすべての膵ホルモンが揃った膵島様細胞塊の再生に成功し、糖尿病の遺伝子治療の道を開いた。これらの結果は2003年Nature Medicine誌、2004年PNAS誌を始め、多くの総説、特別講演で発表した(業績参照)。この一連の研究の中で、以下の重要な発見をした。1)動物を糖尿病にするだけで肝臓、後根神経節、大血管、心臓、脂肪細胞などに未分化なプロインスリン陽性細胞が出現する。2)この細胞はインスリン欠乏型(STZ処置)とインスリン非依存型糖尿病(ob/ob, High Fat diet-induced)の両者で出現し、共通の因子である高血糖が引き金になる。3)これらの臓器に出現する細胞に血糖コントロールの能力はなく、TNFαなどのサイトカインを産生し、糖尿病の病態の進行とともに不可逆性に細胞数を増して組織傷害の原因になる。4)この細胞は直径30-50μmに達し、電顕的に核が巨大である。5)この細胞は骨髄細胞のマーカーであるCD45陽性で、Rosaマウスの骨髄を移植し、ホスト動物を糖尿病にしたモデルで、骨髄由来であることが証明された。6)電顕的に細胞融合に特徴的な所見が観察された。この細胞融合の実験的証拠を提出した事で、再生医学の方向が大きく転換することになった。これまでは、各組織に分布し特定の細胞になる事が運命づけられたspecific stem cellが各種臓器の再生のプロジェニター細胞になると考えられて来たが、既に分化を遂げた細胞どうしが融合する事で、第3の新たな細胞が生じるという新しい概念が付け加えられることになった。以上の成果は、糖尿病の遺伝子治療の研究に大きく貢献する事になると考えられる。
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