研究概要 |
本研究は骨格筋形成の形成機構を、その過程にかかわる膜分子および細胞内極性を有する分子を網羅的に検索し、新しい筋形成機構の解明をめざした。 特に、骨格筋形成を理解する鍵となる膜分子と細胞内で極性をもって局在する分子の同定に焦点をあてて研究してきた。(1)自立的に筋管を形成するマウス筋芽細胞株を用いて、分化に伴って活性化されるmRNAを濃縮したサブトラクションライブラリーを作成。その網羅的な検索の中から新しい膜蛋白質を見つけ出した。現在、そのうち2つの遺伝子に絞ってsiRNAによる検討を行っている。(2)筋形成に必須の転写因子マイオジェニンのプロモーターにGFPをつないだレポーター遺伝子を作成し、分化後GFP陽性細胞をセルソーターで濃縮し、その細胞のポピュレーションに特異的に反応するモノクローナル抗体を単離した。このアプローチによって、筋形成に関連ある興味ある膜蛋白質を認識する抗体を3種類見つけることができた。(3)これまでに見つけた膜型プロテアーゼメルトリンを中心に、筋形成のプロテアーゼ制御に関する研究を進める、というストラテジーから、メルトリンαは筋形成および脂肪組織形成にかかわり、細胞増殖を制御する因子であることを見いだし、(Kurisaki et al., Mol.Cell.Biol., 2003; Masaki et al., Endocrinol., 2005)、メルトリンβもそのプロテアーゼドメインを介して筋形成に関わることなどを明らかにした(Kurohara et al. Developmental Biol., 2004)。さらに、筋節・レンズ・耳胞上皮に特異的活性化されるADAM_εのクローニングに成功し(Watabe-Uchida et al., Dev Dynamics, 2004)、この分子が筋節上皮などのbasal側に局在することを見いだした。
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