研究課題
基盤研究(B)
私共は、接着分子ネクチンとアクチン線維結合蛋白質アファディンから構成され、アドヘレンス・ジャンクション(AJ)に局在する細胞間接着機構を見出している。また私共は、ネクチン-アファディン系がまず細胞間接着を形成し、そこにカドヘリン-カテニン系やクローディン-ZO-1系をリクルートし、AJとタイト・ジャンクションのオーガナイザーとして機能していることを明らかにしている。本研究においてネクチン-アファディン系の機能と作用機構をさらに解析し、以下の成果を得た。1.私共は、カドヘリンのドミナント・ネガティブ変異体(Cadherin-DN)を発現している上皮細胞にネクチンを強制発現させると、Cadherin-DNのドミナント・ネガティブ活性が抑制されることを見出した。さらに、ネクチンの強制発現は野生型カドヘリンの細胞接着活性を促進することを明らかにした。このように、Cadherin-DNは内在性のカドヘリン-カテニン系とネクチン-アファディン系の連結を競合的に阻害して、カドヘリンの接着活性を阻害すると示唆した。さらに、ネクチンはカドヘリンの細胞接着活性を制御していることを示唆した。2.ネクチンの細胞外ドメインとIgG Fcを融合させたリコンビナント蛋白質(Nefと命名)を作製し、Nefがネクチンのアゴニストならびにアンタゴニストとして機能することを見出した。さらに、このNefを用いて、ネクチンによる細胞間接着がカドヘリンのリクルートに必要であり、かつ十分であることを明らかにした。3.ネクチン-アファディン系は胎生期の上皮構造再構築に関わっていることを示唆した。4.胎生期の中枢神経系において、ネクチン-1と-3のトランス結合が交連性ニューロンとフロアープレート細胞の接着に関与し、交連性ニューロンの走行を制御していることを明らかにした。このように本研究は予想以上に進展し、当初の目的をほぼ達成することができた。
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