研究課題
基盤研究(B)
(目的)ヒトmtDNAの維持におけるヌクレオイド構造の役割を明らかにするため、まずヌクレオイド構成成分の同定を目的とした。ヒトmtDNAヌクレオイドの精製には、その主要構成成分であるミドコンドリア転写因子A(TFAM)に対する抗体で免疫沈降するというアプローチを取った。特にヌクレオイドのコアな構成成分を明らかにする目的で、架橋剤を用い、mtDNAにクロスリンクされるタンパク質の同定を試みた。(成果)1)ヒトmtDNAに結合クンパク質ホルムアルデヒドによる架橋反応後、mtDNA -タンパク質複合体を抗TFAM抗体で免疫沈降し、1次元SDS-PAGEに展開後、ゲル全体を40に細切し、トリプシン消化後LC/MS/MSにてすべての切片に含まれるタンパク質を同定した。HeLaおよびJurkat細胞を用いてそれぞれ2回計4回のすべての実験において、架橋剤プラス時のみに見出されるタンパク質はわずか5分類に集約できた。(1)DNA、RNAに結合することが示唆されているもの(2)Heat shock protein(3)Ribosomal protein(4)TCAサイクル関連(5)脂肪酸β酸化系このように、非常に限られたグループに分類できることはこのクロスリンク免疫沈降系の特異性の高さを示している。また、mtDNAがTCAサイクルと脂肪酸β酸化系代謝経路の効率的な進行のための足場となっている可能性と両代謝経路タンパク質のいくつかは、ヌクレオイドの維持にも働くbifunctinalなタンパク質である可能性を示唆している。(2)ヌクレオイドのmtDNA維持における役割TFAM過剰発現細胞株の作製とRNAiノックダウンにより、TFAMが主要なmtDNAコピー数の制御因子であり、ヌクレオイド構造がmtDNA安定性に必須であることを明らかにした。
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