配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
2005年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2003年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
トロフィニンは栄養膜細胞と子宮内膜腺上皮細胞に発現する細胞接着分子で,トロフィニン同士のホモフィリックな結合を介して胎児の着床に重要な役割を演じている.栄養膜細胞が子宮内膜の間質に進入する現象は,癌細胞の間質浸潤とよく類似していることから,トロフィニンは癌細胞の浸潤にも関与している可能性が示唆される.本研究の目的は大腸癌の進展におけるトロフィニンの役割を明らかにすることである.最初にトロフィニンの発現を促進する分子としてhCGを見出した.次にトロフィニンは42例の大腸癌患者から外科的に切除された大腸癌組織の59.5%に発現しており,大腸癌の予後不良因子であること,並びに大腸癌組織におけるhCGとトロフィニンの発現パターンは有意に相関していることを示した.トロフィニンが大腸癌細胞の浸潤能を促進させるか否かを検討するため,トロフィンを恒常的に発現する大腸癌SW480-tro細胞を遺伝子導入により樹立し,Matrigelアッセイにて検討した.その結果,SW480-tro細胞は対照であるSW480-mock細胞と比較し有意に浸潤能が亢進していた.トロフィニンのcDNAをSW480細胞に一過性に遺伝子導入することで最も発現レベルが上昇する遺伝子をcDNAマイクロアレイを用いて解析し,high-mobility group box 1(HMGB1)を同定した.更に,HMGB1のリガンドであるreceptor for advanced glycation end products(RAGE)の大腸癌組織における発現パターンも免疫組織化学的にトロフィニンの発現パターンと相関傾向にあった.以上より,トロフィニンはHMGB1-RAGEシステムを介して癌細胞の浸潤能を促進することで,大腸癌の進展に関わっていることが明らかになった.
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