研究課題/領域番号 |
15390118
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂元 亨宇 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40221270)
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研究分担者 |
橋口 明典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276218)
杜 ぶん林 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90348798)
柴田 理恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365230)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2005年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2004年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2003年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 多段階発癌 / 早期肝細胞癌 / C型肝炎ウイルス / 遺伝子発現解析 / HSP70 / 肝内転移 / Cortactin / 多中心性発癌 / 前癌状態 / 腺腫様過形成 / B型肝炎ウイルス / 転移モデル / 細胞運動性 / HMGI / Akt |
研究概要 |
肝細胞癌の多段階発癌と多中心性発癌の実際の頻度、背景因子との関連について系統的に検討した。対象は、10年間に外科的切除された初発肝細胞癌664症例、980結節を用いた。その結果、980結節の中で369結節(37.7%)が多段階発癌と診断された。また、664症例の中で177症例(26.7%)が多中心性発癌と診断された。背景因子別では、HBs抗原陽性群よりHCV抗体陽性群の方が高く、多段階発癌と多中心性発癌はHCVに感染した症例に最も多く認めた。このことは、ウイルスにより発がんへの寄与が違うことを示唆すると考えられた。 早期肝細胞癌から進行肝細胞癌への進展過程に対応する過程結節内結節像を示す肝細胞癌症例の非腫瘍部、早期肝細胞癌部、進行肝細胞癌部のmRNAレベルで発現の比較を行い、遺伝子発現(hierarchical clustering algorithm)によりそれらが分けられることを示し、多段階発癌過程においてそれぞれの過程が分子レベルで明瞭に異なることを示した。またHSP70が、RNA、蛋白レベルで非腫瘍部に比較し早期肝細胞癌部、進行肝細胞癌部で多段階的に過剰発現し、肝細胞癌の多段階発癌に関与していることを示した。更に、前癌病変との鑑別が問題となる早期肝細胞癌に有効なマーカーであることも多症例の免疫組織学的解析から立証した。 肝細胞癌の肝内転移機構の解明のため、既に樹立された肝細胞癌同所性移植肝内転移モデルにて高転移性の2株、低転移性の3株、計5つの肝細胞癌株を用いて、遺伝子発現解析(12600gene)を行い、肝内転移性と相関する遺伝子を同定した。高転移株で有意に高発現している遺伝子群として、cortactin、Arp2/3、Pim-1、Nup88など20遺伝子を同定した。肝細胞癌の高転移株にsiRNAを用いてcortactinの発現を抑制させたところ、細胞運動能が著明に低下し、低転移株に過剰発現させたところ、細胞運動能の有意な亢進を認め、更にin vivoでは転移能の有意な亢進を認めた。進行肝細胞癌152症例の免疫組織染色では、cortactinの発現亢進と肝内転移が有意に相関していた。
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