研究課題
基盤研究(B)
腸上皮化生は、慢性萎縮性胃炎粘膜に多く認められ、胃がんの前がん病変としての可能性からさまざまな検討がなされているが多くの問題が未解決のまま残されている。我々は、器官特異的遺伝子の発現が、腸上皮化生発生に重要であると考え以下のような実験を行った。1.分離腺管でのリアルタイムRT-PCRおよび免疫組織学的検討により、胃特異的転写因子Sox2は、胃(MUC5AC)の形質発現と強い相関関係があり、胃腸混合型腸上皮化生(GI-IM)から腸単独型腸上皮化生(I-IM)になるに従って発現が減少した。腸特異的転写因子Cdx1/2は、腸(MUC2とvillin)の形質発現に一致しており、正常胃粘膜では発現が無く、GI-IMからI-IMとなるに従って、発現が増加した。2.胃がんでも、Sox2とCdx1/2は転写レベルあるいはタンパクレベルで、胃あるいは腸の形質と相関し、組織型とは無関係であった。胃腸混合型の胃がんではSox2とCdx1/2が共発現していた。Cdx2は胃がんの予後因子としても有用であった。また、胃がんのPaneth cell様分化は、腸型形質の一部として発現しており、胃がんの腸型化の過程で出現することがあることを明らかにした。3.直径3ミリ以内の微小粘膜内がんとその隣接非がん粘膜の検討では,胃型あるいは腸型への分化傾向に一定の相関が認められず,胃がんとその周囲の胃粘膜は独立に腸型化が進むことを明らかにした。4.MUC5ACと腸のマーカー(MUC2とvillinおよびCD10)の重染色の結果,GI-IMの粘膜上皮細胞では,胃と腸のマーカーの共発現が単一細胞レベルで確認された。以上の結果より、腸上皮化生は幹細胞レベルでの分化異常であること示された。また、非がん部およびがん部の形質発現には、胃および腸特異的転写因子の発現が重要であることが示された。
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