研究課題/領域番号 |
15390127
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大島 正伸 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40324610)
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研究分担者 |
大島 浩子 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (80362515)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
15,400千円 (直接経費: 15,400千円)
2004年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2003年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
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キーワード | 胃癌 / 炎症 / COX-2 / mPGES-1 / マクロファージ / TNF-α / プロスタグランジン / マウスモデル / Toll-like receptor / トランスジェニックマウス / PGE_2 / ヘリコバクター |
研究概要 |
誘導型酵素であるCOX-2は、アラキドン酸を基質としてPGH_2を合成し、同じく誘導型酵素のmPGES-1により、PGH_2はPGE_2へと変換される。胃癌組織ではCOX-2とmPGES-1双方の発現が誘導されており、産生されるPGE_2が腫瘍発生に何らかの役割を果たしていると考えられた。本研究では、胃粘膜上皮で転写活性のあるK19遺伝子プロモーターを用いて、COX-2とmPGES-1の双方を発現するトランスジェニックマウス(K19-C2mE)を作出し、胃粘膜上皮の分化増殖におけるPGE_2の作用を解析した。K19-C2mEマウスの腺胃には加齢にともない炎症反応を伴う過形成性腫瘍が発生した。腫瘍病変には好中球やリンパ球浸潤をともなう炎症反応がみとめられたが、抗生物質の投与により胃内の除菌を行なうと炎症病変は消失し、腫瘍病変も退縮した。また、K19-C2mEマウスの粘膜固有層には顕著なマクロファージ浸潤の亢進が認められ、抗生物質により炎症反応が抑制されても浸潤は残っていた。したがって、PGE_2により浸潤が亢進したマクロファージが胃内の常在菌に反応して起こした炎症が、腫瘍性増殖に重要であることが明らかになった。さらに、粘膜外の細菌が胃粘膜上皮細胞のToll-like受容体4(TLR4)を介してマクロファージを活性化している可能性が培養細胞を用いた実験から示唆された。炎症性サイトカインの発現が上昇していたため、TNF-αとIL-1β受容体遺伝子ノックアウトマウスをそれぞれ、K19-C2mEマウスと交配すると、TNF-α欠損により腫瘍病変の消失が観察された。したがって、TNF-αに依存した炎症反応が上皮細胞の異常増殖を引き起こす事が明らかになった。また、胃炎の発症はIL-1βに依存していないことも示された。この結果により、TNF-α阻害薬が胃炎をともなう胃癌発生を予防する可能性が示された。
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