研究課題
基盤研究(B)
抗凝固薬であるヘパリンによる脳出血のメカニズムの解明を目的として研究を進めた。tPA欠損マウスを用いて、ローズベンガルの静脈内投与と緑色光照射により中大脳動脈を血栓にて閉塞し脳虚血を作成した。脳虚血3時間後からヘパリンを24時間後まで持続投与し、48時間後に脳出血の状態を観察した。野生型マウスではヘパリンによる脳出血が観察されたが、tPA欠損マウスでは脳出血が認められなかった。このことから、内因性のtPAがヘパリンによる脳出血に大きく関与していることが示唆された。野生型マウスを用いてヘパリン投与後の内因性tPAの活性や発現をアガロースフィブリンプレート法、ノーザンプロティング法、in situ hybridazation法で調べると、虚血周囲部のマイクログリア細胞にtPAの発現と産生が亢進していた。さらに、matrix metalloproteinase(MMP)の活性や発現を調べると、虚血にすることでMMP-2,-9の活性や発現が亢進した。さらに、ヘパリン投与によりMMP-9の活性や発現はさらに亢進しが、tPA欠損マウスではこれらの変化は見られなかった。ヘパリン投与時には、MMP-9の産生亢進は虚血周辺部のマイクログリア細胞と内皮細胞に強く見られた。これらのことから、脳虚血状態にヘパリンを投与するとマイクログリア細胞における内因性tPAの発現が亢進し、さらにマイクログリア細胞と内皮細胞でMMP-9の発現が亢進し、MMP-9が血管マトリックスを破壊することで脳出血を引き起こす可能性が考えられた。また、内皮細胞膜上のLRP(Lipid Related Protein)を介してtPAはMMP-9の産生を亢進するという報告が出され、我々のデータを裏付けるものと思われる。
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