研究概要 |
新潟県十日町市および中里村の平成10年度基本健康診査受診者で生活習慣アンケートに協力が得られた8,651名のうち,受診時既に市村外に転出していた3名を除く8,548名について平成15年12月まで追跡し,脳梗塞74名,脳出血39名,くも膜下出血16名,急性冠症候群26名(うち急性心筋梗塞23名),糖尿病101名の発症を確認した。追跡からの脱落は500名で,追跡率は94.2%であった。 追跡開始時年齢40〜89歳でベースライン調査時に分析対象疾病の既往歴がなかった者について,嗜好飲料飲用状況,食習慣,運動習慣と総血管イベント(全脳卒中と急性冠症候群),脳梗塞,脳出血,急性冠症候群,糖尿病罹患との関係を性,年齢,喫煙習慣,飲酒習慣,糖尿病既往歴,脳卒中既往歴,虚血性心疾患既往歴,他の心疾患既往歴,高血圧既往歴,高脂血症既往歴,対象疾病の家族歴(両親),BMIを補正したコックス比例ハザード分析で検討した。 嗜好飲料では緑茶の習慣的な飲用が総血管イベント,脳梗塞,脳出血の予防に寄与する可能性が示された。 食習慣では淡色野菜の摂取が総血管イベントと脳梗塞の予防に,果物摂取が脳卒中や糖尿病の予防に,肉・魚のバランスのとれた適度な摂取が脳出血や糖尿病の予防に各々寄与する可能性が示された一方,過度な低脂肪食では脳出血や急性冠症候群の罹患リスクが高くなる可能性が示唆された。 身体活動・運動では,有意ではなかったが仕事や家事での身体活動が低い場合に総血管イベントのリスクか高い可能性が示唆されたが,日常の歩行時間や運動習慣の有無,自覚的運動不足の程度は各疾病の罹患リスクと明確な関係が示されず,運動による生活習慣病予防の難しさが窺われた。
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