研究概要 |
本研究は、(1)カルニチンの欠損による脂質代謝異常に着目し、その分子生物学的成果を用いて乳幼児の突然死における脳細胞や心筋細胞のミトコンドリアの変異・酸化ストレス・アポトーシスの意義を解明すること(2)若年層における乳幼児突然死症候群に関する意識調査により、今後の医療情報伝達のあり方について考察すること を目的としてデザインされたものである。 当該研究期間において,新たに得られた知見は以下の通りである. 1)総カルニチン及び遊離カルニチンの酵素法による定量法及びLC-MS/MSによるスクリーニング法を確立した. 2)カルニチンの生体内での合成過程における微量栄養素の影響について検討した結果,従来,脂質代謝とは無縁であると考えられていた水溶性ビタミンであるビタミンCが重要な役割を果たしていることが明らかとなった.[投稿中] 3)カルニチン擬似物質の有機合成により,カルニチンの生合成能を阻害し,人工的にカルニチン欠損状態を作り出す条件を確立した.更にその応用として,培養細胞への当該物質の導入過程において生じるストレス及びその結果としてのアポトーシスについて評価した.[投稿中] 4)幼児突然死症候群(SIDS)の若年世代における認知度について調査し,日本国内のみならずヨーロッパ・オセアニア諸国からもデータを回収して比較することにより,情報受容者の属性をも考慮に入れた今後の医療情報伝達のあり方について検討した.[投稿中]
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