配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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研究概要 |
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は,大量投与により実験動物で発癌抑制および癌増殖抑制作用を認める副腎ステロイドである。将来的にヒトでの臨床応用につなげていくため,その高感度微量分析方法の開発と癌増殖抑制機序の解明を行い,以下の成果が得られた。 1.血中および組織中のDHEA関連ステロイド,コレステロール合成中間産物,胆汁酸合成中間産物およびオキシステロールを高分解能GC-MSまたはLC-MS/MSを用いて高感度定量する新しい方法を開発した。 2.肝癌の培養細胞系を用いて,DHEAによる癌の抑制機序には少なくとも1)glucose-6-phosphate dehydrogenase活性の抑制によるNADPHとribose-5-phosphateの欠乏,2)HMG-CoA reductase活性の抑制によるコレステロール合成経路の抑制,3)MAPKカスケードの抑制による細胞増殖シグナルの抑制,4)PI3K/Aktシグナル経路の抑制によるアポトーシスの誘導の4つが関与していることを明らかにした。 3.肝細胞癌(McA-RH7777)移植ラットが高コレステロール血症を呈し,肝癌組織ではコレステロール合成のフィードバックがかからず,際限なくコレステロールが合成されている原因を検討した。癌組織中にはオキシステロールが著明に増加し,核内レセプターLXRalphaを活性化することによって癌細胞からのコレステロール分泌を亢進させていた。通常オキシステロールは,コレステロール合成を促進させる転写因子(SREBP2)の活性化を抑制することによってコレステロール合成にフィードバックをかけるが,癌組織中ではSREBP2の発現が著増しているため,フィードバックに必要なオキシステロールのレベルが上昇し,相対的なオキシステロールの欠乏によってコレステロールが供給過剰になっているものと考えられた。
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