研究課題/領域番号 |
15390233
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清原 達也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50322178)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
筒井 秀作 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10359846)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2004年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2003年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | アディポネクチン / アディポネクチン欠損マウス / IL-10欠損マウス / クローン病 / DSS腸炎 / アディポネクチン過剰発現 / アディポネタチン欠損マウス |
研究概要 |
1)炎症性腸疾患におけるアディポネクチンの発現動態の検討(船橋) クローン病患者におけるアディポネクチンの発現および産生動態を検討した。クローン病患者の病変部腸間膜脂肪組織(Fat Wrapping)におけるアディポネクチン遺伝子発現と蛋白発現をそれぞれ定量的PCRおよびELISA法にて定量したところ、正常コントロール群や他の腸炎群に比べて高値を示した。腸管に瘻孔を形成した症例ではアディポネクチン発現量が低かった。 2)マクロファージのサイトカイン産生に及ぼすアディポネクチンの影響(清原) IL-10のホモ欠損マウスから得たマクロファージのLPS刺激によるTNFαおよびIL-12産生に及ぼすアディポネクチンの影響を調べたところ、アディポネクチンはマクロファージのサイトカイン産生を著明に抑制した。 3)アディポネクチン/IL-10二重欠損マウスの作成(筒井) アディポネクチンの腸炎抑制効果を検証するために、アディポネクチン/IL-10二重欠損マウスを作成した。IL-10のホモ欠損マウスは早期に腸炎を発症して弱るため、アディポネクチンのホモ欠損マウスとIL-10のヘテロ欠損マウスの交配からアディポネクチンホモ欠損/IL-10ヘテロ欠損のマウスを得た。次にこのマウスを交配させてアディポネクチン/IL-10二重欠損マウスを作成した。アディポネクチン/IL-10二重欠損マウスを20週齢まで飼育して観察したが、IL-10単独欠損マウスとの比較において、腸炎や大腸癌の自然発症の程度に有意な差は認められなかった。最近、アディポネクチンの抗炎症作用は内因性のIL-10を介するという仮説があり、本結果はこの仮説に合致するものと考えられた。 4)アディポネクチン欠損マウスにおける腸炎の検討(船橋、筒井) アディポネクチン欠損マウスにDSS腸炎を発症させ、その腸炎の程度を正常マウスの腸炎と比較検討した。通常のDSS投与量ではアディポネクチン欠損マウスと正常マウスの間で腸炎の程度に差は認められなかったが、DSSの投与量を減じて検討したところ、正常マウスでは発症しないDSS投与量でもアディポネクチン欠損マウスでは腸炎を発症することを見出した。すなわち比較的軽微な有害刺激による腸炎発症の抑制においてアディポネクチンが関与していると考えられた。 5)アディポネクチン過剰発現による腸炎治療効果の研究(筒井、清原) 上記のDSS腸炎モデルにアディポネクチン遺伝子を組み込んだアデノウィルスを投与してアディポネクチンを過剰発現させ、その治療的効果を検討した結果、アディポネクチンの過剰発現はDSS腸炎の発症を抑制した。アディポネクチンが腸炎の治療薬、あるいは発症予防薬としての可能性を有していることが示された。
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