研究課題
基盤研究(B)
心不全や高血圧において、循環Aldosteroneのみならず心血管組織でのAldosterone合成が病態生理学的意義を有すると思われるようになってきた。我々は、ヒト心臓におけるSteroid合成系に注目して検討を進めた結果、健常心からはDehydroepiandrosterone(DHEA)が、不全心や高血圧心からはAldosteroneが合成されていることを示した(Circulation 2004)。この2つのステロイド合成のカスケードが心臓の状態によって切り替えを起こすことは、ある意味では心臓組織が健常な時は副腎の網状層としての特徴を有するが、不全心になるといわゆる球状層の様相を呈することを意味する。これは心臓と副腎の概念を重ね合わせるという一つの大きな挑戦でもある。我々は、更なる心臓の可能性を探る為にホルモン臓器としての心臓研究を続けた結果、ヒト心臓(高血圧心)からのACTH分泌を確認した(J Hypertens 2005)。心室からのACTHの分泌量は血圧の程度と有意に相関していることから、本態性高血圧の成因に何らかの関与が示唆される。また、心臓ACTH合成と心臓Aldosterone合成は正の相関関係にあり、心臓では副腎と異なり、ACTHはAldosteroneの合成を促進し続ける可能性がある。総じて、当該研究によって心臓RAA系研究からさらに心臓HPA系研究という新たなる道筋が確立された。一方、Aldosteroneの作用に関して、我々は以前にAldosteroneがACE遺伝子を発現亢進させることを報告しているが、本研究においてAldosteroneがMR受容体を介してACE2遺伝子発現を抑制することを確認した。ACEの亢進およびACE2の抑制はAIIの生成を上げ、Ang1-7の生成を抑制する。つまり、RAA系における更なる悪循環系の存在を示している。
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