研究課題/領域番号 |
15390259
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福地 義之助 順天堂大学, 医学部, 教授 (80010156)
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研究分担者 |
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 講師 (10226681)
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80245711)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2004年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2003年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | COPD / 肺気腫 / 気道炎症 / 慢性喫煙暴露 / 分子修飾 / 加齢 / SMP30 / senescence-accelerated mouse / 炎症性サイトカイン / 慢性喫煙曝露 / ニトロチロシン / 粘液細胞 |
研究概要 |
高齢者疾患との関連性が示唆される加齢指標蛋白質(Senescence Marker Protein-30 ; SMP30)に着目し、SMP30ノックアウト(SMP30Y/-)マウスの加齢に伴う肺カルボニルタンパク質の変化、慢性喫煙負荷による酸化ストレスの影響と肺病理変化を検討した。SMP30Y/-マウスでは対照野生型マウス(SMP30Y/+マウス)に比べて、加齢に伴い肺カルボニル蛋白質が、早期に、かつ有意に多くのカルボニル化蛋白質を検出した。抗DNPH抗体による免疫組織染色では、蛋白質のカルボニル化は肺組織内にびまん性に認められ局在性はなかったが、SMP30Y/-マウス肺でやや強く発現がみられた。肺組織のカルボニル化蛋白質は、両マウスでタバコ煙曝露により増加する傾向を示したが、統計学的有意差はなかった。しかし、タバコ煙曝露群を比較するとSMP30Y/-マウスはSMP30Y/+マウスに比べて有意に高値であった。SMP30Y/-マウスでは、8週間のタバコ煙曝露によってMLIが23.3%増加し、DIは10%以上と有意な肺胞破壊を認め肺気腫が誘導されたが、対照SMP30Y/+マウスでは肺気腫は生じなかった。肺組織の過酸化脂質はSMP30Y/+マウスではタバコ煙曝露による有意な変化はなかったが、SMP30Y/-マウスで曝露後有意に上昇していた。SMP30Y/-マウス肺組織では、喫煙により中枢気道から肺実質のすべての領域で有意にアポトーシス細胞が増加していた。SMP30は酸化ストレスから肺を保護し肺気腫発生に防御的に作用すると考えられた。喫煙による酸化ストレスは肺気腫を誘導するが気道炎症は両群において有意な差は認めなかったことから、内的加齢因子は気道炎症にとっての寄与度は肺気腫発生に対するそれより少ないものと考えられた。一方、SAMP1(加齢肺モデルマウス)とSAMR1(正常加齢を示す対照マウス)を用いて肺の加齢にとって重要な遺伝子発現を解析する目的で、3、6、12ヶ月例の両群マウスの肺組織での加齢に伴う遺伝子発現をマイクロアレイにより網羅的に検討したところ、約2%の遺伝子発現に変化があった。このうち、加齢に伴いストレス応答遺伝子(heat shock protein 68)の発現低下、炎症性サイトカインのIL-1βの発現上昇、薬物代謝酵素系では肺胞の再生や肺構造維持に大切は増殖因子であるレチノイン酸代謝に関与しうるcytochrome p450 isozyme(CYP2C39)の発現亢進、等の興味ある遺伝子の動きを捉えることができた。SMP30やこれらの機能分子は気道炎症や肺気腫の今後の重要な研究対象と考える。
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