研究課題/領域番号 |
15390263
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根東 義明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00221250)
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研究分担者 |
飯沼 一宇 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004927)
大浦 敏博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10176828)
松原 光伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30282073)
内田 信一 東京医科歯科大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50262184)
藤原 幾磨 東北大学, 病院・講師 (10271909)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2004年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2003年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
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キーワード | 尿濃縮機構 / イオン輸送体 / カルシウム代謝 / 尿細管機能異常症 / 微笑灌流法 / 顕微蛍光測光法 / 微小灌流法 |
研究概要 |
尿濃縮機構は鳥類と哺乳類にのみ存在する比較的新しい機能であり、それ以前の爬虫類や両生類には存在しない。その発生過程は、陸上生活に移行するためのツールとして一般的に捕らえられているにもかかわらず、陸上生活をするすべての生物が保有する機能でもなく、なぜ尿濃縮機構が必要だったのかに対して、いまだ明確な答えが出たとは言いがたい。われわれはこれまでの長年の研究により、尿濃縮の個体発生における機能変化が、とりわけ新生児期に焦点を当ててみると、単なる量的変化としての成熟ではなく、「質的転換」とも表することの出来る転換過程であることを明らかにした。その核心は、「NaCl単独貯留からNaCl尿素複合貯留システムへの転換」あるいは「鳥類型から哺乳類型への転換」とも表することが出来る。 本研究課題では、新生児期に臨床的に起こりやすい低カルシウム血症に着目する中で、こうした新生児特有のカルシウム代謝のアンバランスが、実は尿濃縮時に起こるカルシウム輸送機序の尿細管各部位における調節の発達と密接な関係にあるのではないかという視点に立ち、とりわけ尿細管におけるカルシウム輸送の調節に重要な役割を果たすと考えられるカルシウムセンサーCaSRに着目し、その尿細管における作用機序と新生児期の発達過程を詳細に検討することとした。 マウス腎より髄質外層ヘンレの太い上行脚(mTAL)を単離し、微小灌流した。CSR活性化を起こすNeomycinは、新生仔マウスでは血液側からわずかに細胞内Caを上昇させる傾向が見られたが、細胞内pHには影響を与えなかった。一方、成熟マウスのmTALでは、細胞内CaはNeomyc inによる明らかな反応を示さなかったが、細胞内pHはNeomycinを血液側から投与したときにははっきりとした酸性化を起こし、新生仔mTALとは異なる反応を起こすことが明らかとなった。この細胞内酸性化は管腔側に投与したアミロライドやDIDSでは抑制されなかった。さらに、成熟マウスmTALの細胞内Naは、Neomycinの投与による影響を受けなかった。レーザー共焦点顕微鏡を用いたCSRの免疫蛍光染色では、新生仔のいずれの時期にも明確なmTAL細胞膜でのCSRの存在が証明されなかった。 以上の結果から、新生児期のマウスでは、尿濃縮機能の発達に重要な役割を持つmTALではCSRが十分に発達していないことが強く示唆された。また、CSRはmTALにおいては細胞内酸性化に関与することが明らかとなり、今後その機序に関して詳細な検討が必要と思われた。
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