研究課題/領域番号 |
15390273
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20212540)
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研究分担者 |
東海林 幹夫 弘前大学, 医学部附属脳神経血管病態研究施設, 教授 (60171021)
永井 真貴子 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (80420488)
林 健 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (40314679)
永野 功 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80335603)
永田 哲也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50362976)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2005年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / トランスジェニックマウス / 髄腔内投与 / IGF-1 / 神経栄養因子 / モデル動物 / ALS |
研究概要 |
本研究の成果は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者において、神経栄養因子であるIGF-1を脊髄腔内に投与し、症状進行の遅延を報告したことである。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の許可の下に、20例近いヒトALS患者に、微量注入ポンプを皮下に埋め込み、IGF-1を脊髄腔内に直接持続注入した。低用量群と比較して高用量群においてNorris Scaleで評価した四肢麻痺などの症状進行遅延作用が認められた。 ヒトへの投与の前に、ALSのモデルマウスである変異SOD1遺伝子導入マウスを用いてIGF-1の脊髄腔内投与を行い、IGF-1の投与量に相関してALSマウスの筋力低下の発症時期が遅延し、生存期間が長くなることを報告した。また、生後6ヶ月のALSマウスの運動能力はIGF-1を投与した群で有意に高く、これに相関して病理所見においても、脊髄前角の運動ニューロンが有意に残存していた。残存した運動ニューロンではリン酸化AktやERKと言った生存シグナルの発現増加が見られ、IGF-1のALS運動ニューロンへの保護作用のメカニズムは生存シグナルの増加によるものであることを明らかにした。さらにメカニズムについては、ALSマウスにIGF-1を投与すると、脊髄前角でIGF-1のレセプターであるIGF-1Rβと細胞内のシグナルタンパク質であるIRS-1の発現の減少を認め、これらのシグナル伝達機構が運動ニューロン保護作用に関与している可能性を指摘した。 運動ニューロン死のメカニズムについては、低酸素負荷したラット脊髄をモデルとした。神経保護作用が報告されているVEGFの受容体であるFlk-1を抑制しても正常ラット脊髄では運動ニューロン死がおきないが、低酸素負荷したラット脊髄の運動ニューロンが著明に減少することから、低酸素下でVEGFが運動ニューロンに保護的な役割を果たすことを明らかにした。
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