配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
自閉症の分子病態の解明を目的として、遺伝子変異、リスクalleleの同定を行った。検索遺伝子群は染色体7q31-q33領域、および脳に発現する遺伝子群で機能的に関連が予測される遺伝子群について広汎に変異解析を行った。方法は、PCR増幅フラグメントのheteroduplex同定後、直接塩基配列決定法で確認し、さらに制限酵素処理フラグメントの同定で確認を行った。罹患者からの採血による研究の実施については罹患者が小児で理解不可能の場合には、親から同意を文書で得た。自治医科大学倫理委員会の承諾を得た 解析対象遺伝子は、NRCAM,SLC26A3,FOXP2,WNT2,WNT16,GRM8,secretin,secretin receptor,HTR5a,GPRPs,MECP2,MBD1,2,3などを始め広汎に変異スクリーニングを行った。変異としては、MBD1、WNT16にミスセンス変異を男児罹患者に同定した。FOXP2の一カ所に自閉症集団にP値=0.0035の有意に頻度の高い液配列を検出した。その他の遺伝子では変異は50-100の罹患者試料には検出されなかった。自閉症における遺伝子変異は、neuroligin3,4,Shankなど少数で報告されているだけであり、いずれもシナプス形成に関与することが示唆されている。我々のMBD1における変異は、Rett症候群のMECP2と同じく、脳形成期のメチル化結合蛋白の機能障害による遺伝子発現抑制系の破綻が自閉症病態の基盤にあることを示唆する成果である。また父親に軽度の社会性障害があり同一の変異を有したことは、自閉症の臨床形質は正常集団と連続性があり、個々の遺伝子変異は自閉症との関連ではなく、社会性障害という形質との関連である可能性も示している。WNT2には変異は検出されなかったがWNT16は、ミスセンス変異を検出した。家系形成はしていない例であるため、自閉症との関連か形質との関連かは不明であった。WNTシグナルが神経形成、とくに、軸索形成、シナプス形成と成熟に関与することから、この変異同定の成果が意味があると考えられる。我々の成果、からは、自閉症病態の基盤は、神経形成機構、スナプス形成機構にあることが推定された。
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