研究分担者 |
林崎 規託 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (50334537)
川崎 克則 東京工業大学, 理工学研究科, 助手
岡村 昌宏 理化学研究所, 放射線物理研究室, 先任研究員 (80332245)
北川 敦志 放射線医学総合研究所, 加速器物理工学部, 主任研究員 (40280739)
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研究概要 |
がん治療装置入射器の初段部において,大強度重イオンビームを簡便・安定に確保するための機構として,直接プラズマ入射型RFQパンチャーを開発し,重イオンがん治療に必要な炭素イオンビームの大強度加速実験をおこなった。前年度に本補助金により加速電極の製作をおこなった直接プラズマ入射型RFQバンチャーに,既存備品の炭酸レーザーイオン源を組み合わせたビーム加速実験装置を整備し,平成16年7月に世界初となる50mAの大強度炭素イオンビームを100keV/uまで加速することに成功した。その実験結果は同年8月に理化学研究所よりプレス発表され,第1回日本加速器学会年会,ドイツで開催されたInternational Linac Conference(Linac2004)においても報告された。また,日本加速器学会誌からの寄稿要請に応じ,同誌に速報が掲載された。さらなる重イオンがん治療用加速器の小型化のためには,価数の高い炭素イオンの生成・加速が重要であるため,新しくYAGレーザーイオン源を用いたシステムを検討し,事前実験によりC^<5+>,C^<6+>の大量発生に成功した。そして,現在は直接プラズマ型RFQパンチャーと組み合わせた加速実験を続行中である。 また,がん治療用入射機の1/3程度の加速エネルギーをもつテスト機として,炭素イオンを2MeV/uまで加速するAPF-IHリニアックの開発をおこなった。本補助金により整備されたテスト2MeV/uAPF-IHリニアックを用いて,平成16年10月に低電流陽子ビームの加速に成功した。がん治療用入射器としては,これまでのRFQリニアックとアルバレリニアックの組み合わせが利用されてきたが,これらの研究成果を受けて,RFQリニアックとIH(APF-IH)リニアックの組み合わせが,放射線医学総合研究所が進めている普及型がん治療装置の開発において採用され,ドイツにおいても計画が進んでいる。
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