研究課題/領域番号 |
15390428
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高山 和喜 (2004) 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (40006193)
日下 康子 (2003) 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00292219)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00217548)
齋藤 務 (斎藤 努) 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (00302224)
白根 礼造 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30206297)
孫 明宇 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00311556)
高山 和喜 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40006193)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | 衝撃波医療 / HO : YAG レーザー / 脳神経外科 / 歪み / 頭部外傷 / 緩衝材 / 医療工学 / キャビテーション / Ho : YAGレーザー / レーザー医学 / 頭蓋骨欠損 / レーザー誘発衝撃波 / 衝撃波工学 / 神経内視鏡 / 低侵襲治療 |
研究概要 |
本研究は衝撃波の医療応用研究の中でも、未開発分野である頭蓋骨形成誘導に対する初の試み(平成13年度開始)の延長であり、照射周囲部脳保護下に術中頭蓋骨形成衝撃波照射方法を開発することが目的である。既にラット頭蓋骨を用いた基礎実験の結果、頭蓋近傍で5MPaの照射が可能な衝撃波発生装置を開発し、ゴアテックス人工硬膜を用いて脳表を被覆することにより脳表保護下に頭蓋骨に衝撃波照射が可能であることを報告した。 本研究期間内では、以下の点を明らかにした: 1).上記知見を応用し、脳神経外科手術で応用可能な方法で、骨成長促進効果が得られるかを小動物(成長期ラット)で検証する。 2).ヒト頭蓋骨照射を想定した場合、骨の厚さが格段に厚いため、厚みを持つ骨に対応した高過剰圧狭範囲照射が可能な頭蓋骨照集用衝撃波照射装置を開発する。 3).衝撃波による脳損傷閾値を同定し、厚みをもった骨で骨形成促進効果の得られる衝撃波過剰圧に対応した衝撃波緩衝材(あるいは脳組織保護方法)を開発する。 4).衝撃波による頭蓋骨形成促進機序を解明する。 検討の結果、以下の点が明らかにした: 1).脳外科開頭手術を想定し、8週令ラット頭蓋骨に骨窓を設け、非照射群、単一回照射群(衝撃波5MPaを各辺に500発1日照射した群)、複数回照射群(同様の照射を4日施行した群)で比較したところ、回数依存性に骨形成促進効果が得られた。 2).従来われわれが脳神経外科顕微鏡手術、内視鏡手術に応用可能であるとして開発を進めてきた中赤外レーザー(Ho : YAGレーザー、レーザーエネルギー2W/3Hz)照射による衝撃波発生方法では、15MPaが限度であった。以前得られた知見を応用してプラスチック円筒水槽内で電極放電を行うことにより、過剰圧20〜30MPaの局所照射が可能な衝撃波発生装置を開発した。ラットと比較して骨の厚みを持つ(平均2.5mm)8週令ウサギで検討したところ、20MPa以下の衝撃波照射では有意な骨成長の促進効果は得ることができなかった。 3).既に衝撃波緩衝材であることが判明した厚さ0.3mmのGore-Tex人工硬膜における衝撃波減衰効果の機序を検討した。Gore-TexはpTFEの3次元延伸構造で内部に空気層を含有していて、衝撃波が内部空気層で干渉、屈曲、減衰を繰り返すことが減衰効果に寄与していることを数値解析、物理実験により検証した。脳組織損傷閾値はラットによる検討を行った。推定過剰圧1MPa程度で脳表近傍血管の破綻が発生するとともに周囲の壊死、細胞核の変形が認められた。より微小圧での検討、時間経過による検討は鋭意継続中である。厚さ0.3mmのgore-Tex人工硬膜の衝撃波減衰効果は95%で既存の素材では通過過剰圧が1MPaを越すため臨床応用は困難である。 4).二重露光ホログラフィー法により骨のひずみと骨成長の関係を検討したが、現段階では骨成長部位と衝撃波照射後の骨歪分布の間には明らかな相関は認められなかった。 以上、本研究期間内において小動物モデルおよび中型動物モデルを用いた衝撃波照射による骨形成促進効果の検討を行った。現段階では臨床応用は困難であるが、今後20MPa以上の高過剰圧での検討を行うとともに、より高過剰圧に対応した衝撃波緩衝材の開発が望まれる。脳損傷閾値に関する検討は頭部外傷時の脳損傷との類似点を持つ可能性があり、今後も検討を継続する予定である。
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