研究課題/領域番号 |
15390448
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星地 亜都司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70236066)
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研究分担者 |
山本 真一 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 主任研究官 (30282560)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / 神経前駆細胞 / 遺伝子導入 / 転写因子 / ニューロン / オリゴデンドロサイト / サイトカイン |
研究概要 |
我が国には現在10万人以上の脊髄損傷患者がおり、毎年約5000人が新たに罹患している。現在の脊髄損傷の治療は、除圧固定手術とリハビリテーションが中心であり、ダメージを受けた脊髄自体の修復再生療法は今のところ皆無である。一方で、脊髄を含む成体中枢神経系の多くの領域に神経幹細胞や様々な前駆細胞群(ここではこれらを総称して神経前駆細胞と呼ぶ)が存在することが知られており、近年これら神経前駆細胞を利用した再生医療の可能性が動物実験において研究されている。本研究では、green fluorescence protein(GFP)発現レトロウイルス用いて成体ラット損傷脊髄内に内在する神経前駆細胞の表現型の同定と遺伝子導入・薬物投与効果を検討した。 損傷脊髄内の増殖性細胞をGFPレトロウイルスで標識し、培養系でその性質を解析すると、損傷脊髄内の神経前駆細胞はこれまではグリア前駆細胞と考えられていたOlig2/Nkx2.2/NG2三重陽性の表現型で存在することが示唆された。損傷脊髄内でこれらの前駆細胞からニューロン、成熟オリゴデンドロサイトの再生が妨げられる機構としては、主に抑制的環境因子が考えられている。損傷脊髄内前駆細胞へのNeurogenin2の強制発現によってニューロン分化が促進し、さらにBDNF投与は新生ニューロンの生存維持に効果があった。一方で、Mash1の強制発現は成熟したオリゴデンドロサイトの増加に効果があった。これらの結果から、損傷脊髄内の神経前駆細胞は薬剤投与や遺伝子導入などの人為的操作によって、細胞補充療法の源として利用できることが示された。さらに、本研究で用いたGFP発現レトロウイルスによる標識とその解析法は、損傷脊髄の再生医療を目指した成体神経前駆細胞の応用に対する重要な手掛かりを与えるものと考えられた。
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