研究課題/領域番号 |
15390449
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40179461)
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研究分担者 |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (30344451)
茂呂 徹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任教員 (20302698)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
瀧川 順庸 ファインセラミックスセンター, 試験研究所, 副主任研究員
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
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キーワード | 人工関節 / 弛み / osteolysis / バイオマテリアル / ナノテクノロジー / 高分子 |
研究概要 |
人工関節の弛みを阻止するため、生体適合性と潤滑性を基材に与えるバイオマテリアル・2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)をポリエチレン(PE)ライナー表面にナノスケールでグラフトする方法(MPC処理)を創案し、人工関節摺動面のMPC処理が耐摩耗性と骨吸収に与える影響を検討した。 耐摩耗性の評価は、ライナーにPEと架橋PE(CLPE)を用い、股関節シミュレーター試験(500万サイクル)で行った。MPC処理CLPEの摩耗量は、未処理PEの1/40以下、未処理CLPEの1/4以下と著明に抑制され、試験終了時のライナー表面にMPC処理は残存していた。 摩耗粉が骨吸収に与える影響は、MPC処理した径500nmの微粒子を用いて評価した。まず微粒子をマウスマクロファージ培養系に暴露し、培養上清中のTNF-α、IL-1、IL-6、PGE_2濃度を測定したところ、MPC微粒子は貪食されず、液性因子濃度は未処理微粒子暴露群の1/4〜1/46に抑制されていた。さらにこの培養上清をマウス骨芽細胞培養系および骨髄細胞と骨芽細胞の共存培養系に添加したところ、未処理群ではRANKLの発現・破骨細胞形成とも強力に誘導したのに対し、MPC群ではこれらを全く誘導しなかった。次に、マウスcalvaria上に微粒子を移植して7日後に屠殺し、骨吸収の有無を判定したところ、未処理群では強力に骨吸収が誘導されたが、MPC群では誘導されなかった。 MPCで表面処理したカテーテル、人工肺等の医用材料は既に認可を受け臨床応用されており、生体内での安全性は確立されている。関節摺動面のMPC処理は、弛みの主因となるPE摩耗粉の産生を著減させ、その効果は長期間の試験終了時まで継続すること、かりに摩耗粉を生じても骨吸収を誘導しないこと、が今回の検討で明らかとなり、人工関節の弛みを阻止する画期的な新技術となることが明らかになった。
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