研究課題/領域番号 |
15390467
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
福井 尚志 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病態総合研究部, 研究部長 (10251258)
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研究分担者 |
田中 栄 東京大学, 医学部 整形外科・脊椎外科, 講師 (50282661)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2003年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | 変形性関節症 / マイクロダイセクション / 軟骨細胞 / 軟骨基質 / 軟骨変性 / 表現型 / レーザー・マイクロダイセクション / 定量的PCR / lysyl oxidase / 細胞外基質 / II型コラーゲン / IX型コラーゲン / XI型コラーゲン / cDNAマイクロアレイ / 定量的RT-PCR / レーザーマイクロダイセクション / II形コラーゲン / アグリカン |
研究概要 |
本研究ではレーザーマイクロダイセクションをOA罹患軟骨に対して応用して詳細にOA罹患軟骨を分析することによって、OAにおける軟骨細胞の機能的な変化を明らかにし、OAの病態の新たな側面を明らかにすることができた。本研究の結果は以下の2点に要約される。 1.OA罹患軟骨の軟骨変性部表層では単層培養の際に観察される脱分化に類似した軟骨細胞の表現型の変化が生じ、II型コラーゲン、アグリカンなど軟骨本来の基質産生が低下すると同時に、OAにおいて発現が誘導されるいわば病的な遺伝子であるファイブロネクチン、III型コラーゲンの発現が亢進していることが明らかになった。これらの変化は軟骨変性部表層において基質産生の変化によっても基質の喪失が促進されている可能性を示唆するものである。またこの結果から軟骨変性部表層の軟骨細胞の機能を正常化することができれば、それによってOAの進行が抑制しうるのではないかと考えられた。 2.OA罹患軟骨においては肉眼的な軟骨非変性部においても軟骨細胞の基質産生能に変化が生じ、II型コラーゲンに対するIX型およびXI型コラーゲンの発現が相対的に低下している可能性が明らかになった。この知見に基づいて行った軟骨基質中のコラーゲンのタンパクレベルの解析でもOA罹患軟骨ではIX型およびXI型コラーゲンが相対的に減少していることが明らかとなった。ヒトの遺伝子疾患や遺伝子操作マウスの解析結果からIX型およびXI型コラーゲンの適正な発現は軟骨基質の質を維持する上で重要であることが明らかになっている。このことからOAでは軟骨細胞の基質産生が亢進していても産生される軟骨基質が質的に劣ったものとなっており、これによって疾患の進行が促進されているのではないかと考えられた。 これらの知見はいずれも今後OAの病態を解析し、また新たな治療法を模索する上できわめて重要な手掛かりとなるものと考えられる。
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