研究概要 |
皮溝、皮丘のパターンは"きめ"あるいは皮膚の質感と呼ばれているもののひとつで、体の部位によって違う。本研究は多くの形成外科領域に関係する皮溝、皮丘のパターンの形成メカニズムについては研究を行うことを目的としている。皮膚が完全に再生するマウス胎仔創傷治癒のモデルを用いて、胎生13日の胎仔創傷治癒と胎生14日の胎仔創傷治癒を比べ、皮溝、皮丘のパターンの形成メカニズムの探求を行っている。 sonic hedgehog, indian hedgehog, desert hedgehog, gli-1,-2,-3, smoothened,elastin, fibrillin, fiburinについての発現を免疫組織学的に検討した。その結果、sonic hedgehogは胎生13日の創傷治癒では発現は認められなかったが、胎生14日以降の創傷治癒では過剰発現していた。sonic hedgehogの下流のgli-1,-2,-3,smoothenedはいずれの場合も発現していて、sonic hedgehogの発現の有無が皮溝、皮丘の形成をコントロールしている可能性があった。Genechipによる解析では、胎生13日と14日の創傷治癒過程で発現差異のある物質は数多く観察されたが、発生の段階による違いによるものがほとんどであった。エラスチン関連物質では、胎生13日と14日の創傷治癒での発現の差は見られなかった。 その他の胎生13日の創傷治癒過程で発現していて、胎生14日の創傷治癒で発現していない物質として、Igals9,cluなど12遺伝子が、逆に胎生14日の創傷治癒過程で発現していて、胎生13日の創傷治癒で発言していない物質としてHba-x, Lrp-1など9遺伝子が見つかった。これらはreal time RTPCRで定量的に確認され、また免疫染色により創辺縁での発現が確認された。
|