研究課題
基盤研究(B)
我々の骨格の大部分を占める長管骨は軟骨内骨化により骨形成がおこる。未分化間葉系細胞が骨形成予定領域で凝集し、軟骨細胞が分化し最終的には骨芽細胞による骨形成により置き換えられる。我々は形態形成分子、Notch1、が軟骨細胞の分化を抑制するが骨芽細胞の分化を促進することを見出した。本研究はNotch1が軟骨細胞と骨芽細胞の分化を制御する、メカニズムを解明する目的で行った。骨形成においては軟骨形成が先行する。このように骨形成のメカニズムの解明には軟骨細胞の分化のメカニズムを確立する必要がある。そこで胎生マウスを用いて間様系細胞凝集領域にNotch1発現を検索した。胎生マウスにNotch1の発現を確認し、軟骨様細胞株、ATDC5、使用して、さらに詳しい解析を行った。コンフルエントに達したATDC5にインスリンを加えると細胞凝集がおこり軟骨細胞に分化する。軟骨細胞分化を誘導した細胞にアデノウイルスベクターで活性型Notch1を導入すると、軟骨細胞分化抑制が確認された。他の軟骨基質をコードする遺伝子の発現も抑制された。さらに胎生12.5日のマウス肢芽からLimb bud micro-mass culture(LBMC)を作製し実験を行なった。この培養系では、未分化間葉系幹細胞が凝集し結節を形成する。さらにこの結節からは軟骨細胞が分化する。LBMCにアデノウイルスベクターで活性型Notch1を導入すると細胞凝集と軟骨細胞分化が抑制された。γ-セクレターゼ阻害剤であるDAPTを添加すると軟骨細胞分化抑制は解除された。Notch1シグナリングは細胞凝集と細胞結節形成による形態形成を制御することが分かった。Notch遺伝子ノックアウトマウスは胎生致死にいたるので、骨形成の研究が困難である。この問題を解決するために我々はNotchr1遺伝子のConditional delection mutantマウスを作製する実験を行なった。軟骨細胞特異的に発現するコラーゲンXIプロモーターにCreリコンビナーゼ遺伝子を繋ぎCol XI/creマウスを作製した。このマウスではCreリコンビナーゼ遺伝子が軟骨形成特異的に発現することを確認した。このマウスラインは骨形成の分子機構の研究に大きなインパクトを与えるものと期待される。さらに軟骨細胞分化特異的に発現する遺伝子をSignal sequence trap by retrovirus-mediated expression(SST-REX)法を用いてクローニングした。この実験により4つの未同定の遺伝子をクローンすることができた。現在、これらの遺伝子を解析している。
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