研究分担者 |
小澤 英浩 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (60018413)
奥村 茂樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80350825)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
平岡 行博 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (20097512)
古澤 清文 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90165481)
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研究概要 |
LPSによる破骨細胞形成におけるMyD88とTRIFの役割を検討するために,骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養を行った。その結果,LPSおよびIL-1は,正常マウスとTRIF遺伝子欠損マウスの破骨細胞形成を誘導したが,MyD88遺伝子欠損マウスの破骨細胞形成を誘導しなかった. 次に,LPSの成熟破骨細胞に対する延命促進作用を検討した.培養ディッシュ上で純化した破骨細胞は,無刺激下においては24時間でほとんどが死に至ったが,RANKL, LPSおよびIL-1は破骨細胞の延命を促進した.TRIF欠損破骨細胞における延命促進効果は正常マウスと同様であったが,MyD88欠損破骨細胞はLPSとIL-1による延命促進効果が認められなかった. 次にLPSによる骨芽細胞からのIL-6産生におけるMyD88とTRIFの役割を検討した.その結果,LPS刺激において,MyD88欠損骨芽細胞はIL-6を産生しなかったが,TRIF欠損骨芽細胞はIL-6を産生した.骨髄マクロファージは以前の報告と同様,MyD88とTRIF,どちらの欠損マウスにおいてもIL-6を産生しなかった.LPS刺激におけるMyD88とTRIFの必要性が細胞により違っていたことから,骨芽細胞,骨髄マクロファージ,破骨細胞の3種類の細胞におけるMyD88,TRIFおよびTRIFシグナルに関与するもう一つのアダプター分子であるTRAMの発現をRT-PCR法で検討した.その結果,MyD88とTRIFは正常マウス由来の骨芽細胞,骨髄マクロファージ,破骨細胞の全てに発現していたが,TRAMは骨髄マクロファージのみで発現しており,骨芽細胞と破骨細胞では発現していなかった.以上の結果から,LPSによる破骨細胞の分化誘導と延命,さらに骨芽細胞からのIL-6産生にはMyD88シグナルのみが関与することが明らかとなった.また,MyD88とTRIFの両方のシグナルを必要とするマクロファージとの違いは,骨芽細胞と破骨細胞においてTRAMが発現していないためであると考えられる.
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