研究分担者 |
石田 僚 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00327933)
江草 正彦 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (90243485)
森 貴幸 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90274000)
岸 幹二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30033202)
柳 文修 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50284071)
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研究概要 |
本研究の最大の成果は、座位での摂食嚥下動態のMRI撮影に成功したことであろう。MRI装置は先端医療センターの0.5-Tesla SIGNA-SP open-configuration MRI system (General Electric Medical Systems, Milwaukee, WI)を使用した。被験者の頭部にはFlexibleコイルを装着した。経口造影剤(FerriSeltz, Otsuka, Tokyo, Japan)を使用し、撮影はFast Spoiled Gradient Recalled(SPGR)法(TR:14.2msec, TE:6.7msec, matrix:256x256, FOV:30x30cm2, thickness:10mm, scantime:1.0〜1.5sec/image)を用いた。座位でのMRI撮影には撮影用のイスを作製する必要があった。このイスは撮影姿勢が調整できる構造とし、磁気の妨げにならない材料を選択した。この撮影法を用いることで生理的な状態に近い摂食嚥下動態の描出が可能となり、さらに被験者自身による補食が可能となることが示された。また収集したMRI基礎データから動的な嚥下関連筋の構造とその機能の連携動作を定量的かつ客観的に解析し、2次元動画像や3次元画像を作成することができた。しかし問題点も明らかになった。それはこの装置では詳細な嚥下動態を評価する時間分解能が不十分であったこと、そして咽頭期の描出能が低かったことであった。これらの点は、今後のMRI機器の発達によって改善されていくべきところであると考えられた。 Videofluorography(VF)との比較では、VFは硬組織の描出には優れているが、軟組織の描出は困難で、しかも骨や歯の像との重なるため舌の描出も容易ではない。一方、MRIは硬組織の描出ではVFに劣るが、軟組織については極めて優れている。またVFが透視画であるのに対し、MRIは断層像であるため、他組織との重なりがない。そのためMRIは舌や軟口蓋、咽頭後壁のみならず舌骨舌筋の走行も観察できる。また時間分解能が改善すれば、時間軸を取り入れた4次元画像が得られるようになり、生理運動の解明や病態診断に応用できる可能性があると思われた。 本研究で得られた摂食嚥下動態のMRIデータを生理運動の解明や病態診断に応用するために、摂食嚥下機能をシュミレートする生理学的計算モデルを構築する計画を進めている。
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