研究課題/領域番号 |
15390573
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 英彦 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90205998)
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研究分担者 |
井上 哲 北海道大学, 大学病院, 講師 (80184745)
田中 享 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90179771)
池田 考績 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90222885)
野田 守 北海道大学, 大学病院, 講師 (10301889)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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キーワード | 接着 / 劣化 / 歯質接着 / バイオデグラデーション / MMP / 象牙質接着 / 樹脂含浸層 / 超微細構造 |
研究概要 |
様々な接着システムによって作り出された接着界面の詳細な検討を行うと、多くの場合コラーゲン線維の露出が伴うことが多く、これは接着直後からポテンシャルな接着界面の弱点を有することを示唆している。 In vivoとIn vitroでの接着界面の長期的な変化を検討することは、劣化のメカニズムを解明する上で重要である。In vitroでの長期耐久性試験を比較検討すると興味深い類似点が見出された。咬合力や温度変化の影響を受けないIn Vitroでの試験と咬合力や温度変化の影響を受けるIn vivo試験できわめて類似した劣化像が見出された。接着界面のレジンは能動的・他動的に抽出されることが判明し、その際、可溶性のレジンが拡散によって水分中に流れ出すことが考えられる。可溶性のレジンが、接着操作時に作られたものかあるいは長期的に加水分解されたり酵素によって可溶化されたかについては今後の検討課題である。コラーゲン線維の劣化像に関してもIn vivoとIn vitroで大きな差は認められなかった。 また、In vitroでMMP溶液に浸漬した接着試験片を用い、6ヵ月後に接着試験を行うとIn vivoと同様な接着強さの劣化が認められた。さらに、そのTEM像はコラーゲン線維の消化を伴うIn vivoと同様な劣化像を呈した。以上の結果を考慮すると、接着界面でのコラーゲン線維の劣化はMMPが大きく関与していることが判明した。 現時点で、接着界面の劣化を制御するために可能であろうと考えられる一つの方法は、Nano interaction zone(Koshiroら、J Biomed Mater Res,2006、研究業績参照)のコンセプトであろう。接着システムによる過大な象牙質の脱灰を避け、コラーゲン線維の周りにあるハイドロキシアパタイトを保存することでコラーゲンの裸山を避ける。さらに、残存したアパタイトに機能性モノマーとカルシウムとの間の相互作用を期待することでコラーゲンの溶出とアパタイトの溶解を防ぐことが期待できる。今後はNano interaction zoneの臨床的な機能・役割について詳細な検討が必要であることはいうまでもない。
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