研究分担者 |
有馬 太郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80346452)
西川 悟郎 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00172635)
岡本 信 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00325094)
長谷川 浩一 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50346459)
|
研究概要 |
被験者は音声器官に異常がない者および脳血管障害によって運動障害性発音障害を有する患者を対象とし,研究内容の十分な説明と同意の上で開始した.被験音は歯頸音の[ta],[na],[ra]と軟口蓋音の[ka]の計4音とした.被験者に発音直前の舌の形態を維持させMRIを撮影した.撮影前には舌形態維持の十分な練習を行った.MRI画像から舌表面と口蓋との間のスペースを140箇所の計測点について計測した.また舌と口蓋の接触パターンをパラトグラムとして抽出した.健常者においては[ta],[na],[ra]は正常パラトグラムパターンとよく一致していたが,[ka]は正常パターンとは異なる所見が得られた.[ta]と[na]はパラトグラムではほぼ同様のパターンを示すが,[na]は[ta]に比べて舌後方のスペースが少ない傾向があった.[ka]は各被験者間で舌の形態が様々で,パラトグラムにもばらつきがみられた.健常者から得られたこれらのデータを元に平均的口腔内容積を算出しデータベース化を行った.運動障害を有する患者における撮影では,明瞭な像を得ることが困難であったが,本研究において,正常者における発音中の正常口腔スペースがデータベース化されたことによって,今後の運動障害を有する構音障害患者の口腔スペース再現のための重要な情報を蓄積することができた.運動性構音障害患者の全身状態については,それぞれの病状によって個体差が大きく,今回蓄積したデータベースと重ね合わせることが可能な症例も多数存在すると考える.
|