配分額 *注記 |
11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2003年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
可塑剤の多くが環境ホルモン作用につながるエストロゲン様活性を示すのではないかと指摘されて以来,医療機器用材料としての使用に対する懸念が持たれている.我々は,これまで市販品の多くで使用されてきた化学物質に替えて,新たに各種脂肪族系エステル類を用いたところ,可塑剤フリーで従来の軟質裏装材と同等以上の性能が得られることを明らかにした.次いで,エタノールを使用しない材料設計を目指して,18種類のビニルエステルの中から初期の粘弾性が従来品と比較できるような候補高分子材料を試験した.その中から8種類の候補高分子材料について,in vitro生物学的安全性試験として細胞毒性試験ならびにエストロゲン様試験によって,最終的に3種類のビニルエステルを選んだ.その後,それらを用いて試作品を作製した上で,補綴臨床を想定してin vitroにおける組織モデル試験による別途の生物学的安全性評価,ならびにゴム弾性試験および溶出試験を実施した結果,Vinyl octanoateを液成分とした試作品のみが実験目的に合致することが明らかとなった.さらに,同試作品について粉液比の変化によって容易に粘弾性が調節できることや,また,2種類以上のビニルエステルの組み合わせ等も可能である実験結果を得た. 以上,今回に行った種々の面からの新規軟質裏装材への開発研究結果からして,補綴臨床における種々の幅広いニーズに対応できる材料設計が可能となった.すなわち,可塑剤フリーでアルコールを含まない材料設計から,初期の柔軟性が失われることなく,しかも長期の使用が可能となる.今後,材料開発の次なる段階のin vivo前臨床試験を経て,順次実用化へと導きたい.
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