配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
歯周疾患は,細菌感染による慢性炎症性疾患であり,これにより病的な骨吸収が引き起こされる.この骨吸収を抑制することが,歯周病の治療および予防に非常に重要である.骨代謝に重要な骨吸収を司る細胞が破骨細胞であり,この破骨細胞の分化に関する細胞内伝達経路が数多く報告されている.この伝達経路をコントロールすることが出来れば,骨吸収をコントロールすることが可能である.我々の共同研究者が,破骨細胞が産生する新規の破骨細胞形成抑制因子(OIP-1, Osteoclast inhibitory peptide-1)を発見した.OIP-1のように破骨細胞が産生し,オートクラインに自身を抑制する因子は報告されていない.このOIP-1の破骨細胞抑制機序を解明して歯周治療に応用することが目的である. マウス骨髄細胞および骨芽細胞において破骨細胞分化抑制因子であるInterferor-γ(IFN-γ)によりOIP-1 mRNA発現の増加が認められた.また,同じTh-1サイトカインであるIL-12も同様にOIP-1の遺伝子発現を増加した.OIP-1の破骨細胞分化抑制に対してIFN-γの抗体を添加したところOIP-1の活性が中和された.このことから,OIP-1はIFN-γの破骨細胞抑制機序に関与していることが示唆された.さらにOIP-1は破骨細胞の抑制機序としてReceptor activator of NF-κB ligand(RANKL)が誘導するphospho-c-Jun(p-c-Jun)の発現を抑制した.一方,その下流にあり破骨細胞の形成に関わる因子であるNF-κBの活性化には,影響を及ぼさなかった.その上,OIP-1は,TNF receptor associated factor 2(TRAF-2)の発現を著しく減じた.しかしながら,OIP-1はTRAF-6の発現に影響を及ぼさなかった. 以上より,OIP-1は,IFN-γによる破骨細胞抑制機序に関与しており,TRAF-2とp-c-Junキナーゼ活性を抑制することにより破骨細胞分化を抑制していることが明らかとなった.OIP-1は,歯周病における炎症性骨吸収を抑制できる可能性が考えられる.
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