研究分担者 |
高橋 隆博 関西大学, 文学部, 教授 (70188019)
高橋 誠一 関西大学, 文学部, 教授 (00025082)
木庭 元晴 関西大学, 文学部, 教授 (40141949)
薮田 貫 関西大学, 文学部, 教授 (80027987)
米田 文孝 関西大学, 文学部, 教授 (00298837)
中谷 伸生 関西大学, 文学部, 教授 (90247891)
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研究概要 |
本研究は,インドに約1200窟分布する石窟寺院のうち,前2〜後3世紀頃に開墾された仏教窟の現状把握を主目的として推進しました。一般的に,紀元前2〜後2世紀頃と後5〜8世紀とに造営時期が区分されるインド石窟の先行研究は,アジャンター石窟をはじめ,彫刻や絵画作例が豊富な後期窟に偏向して進められてきました。こうした現状を踏まえ,本研究においては仏教美術の展開に重要な役割を果たしながら,芸術表現が乏しいとの理由で研究や保護管理の対象から外され,危急的対策を要する小規模石窟に焦点をあてて踏査を実施し,基礎資料を作成しました。 初年度は,平成15年8月6日〜8月20日に現地調査を実施しました。インドの全石窟のうち約80%が集中する西部マハーラーシュトラ州の州都ムンバイーに拠点を置き,カーンヘーリー,ナーシク,カールレー,ジュンナルなどの前期仏教窟の主要な事例を可能な限り実見しました。 平成16年度は,平成16年8月4日〜8月21日に現地調査を実施しました。前年度の調査成果を基にして,ジュンナル石窟を主要調査対象に選定しました。同名の町を拠点として,計6支群からなる石窟のうち,天候不良で調査不可能であった1支群を除く全支群を踏査しました。また,ジュンナル石窟と同時期かやや下り,わが国で全く紹介されていないワーイー,シルワルといった小規模石窟も実見しました。帰国後は,国内外において史資料調査を実施し,ワーイー石窟などの他に,クダー,マハード,カラードなど,前期窟の最晩期あるいはそれを下る小規模石窟の存在を確認しました。 最終年度は,平成18年2月5日〜3月22日に現地調査を実施しました。上述した前期窟の最晩期に位置付けられる小規模窟を可能な限り踏査したほか,後期窟の主要例であるアジャンター,エローラー,アウランガーバードの各石窟も実見し,前期窟と後期窟それぞれの消長過程と相互影響関係を検討しうる,実証的な基礎資料を作成しました。
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