配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
本研究期間中に10回渡航し,ルソン島のフィリピン断層帯の空中写真判読・地形調査・トレンチ掘削調査,およびルソン島南東部の第四紀テフラの調査を行った.本研究では,調査地域全域の縮尺約3万分の1のモノクロ空中写真を購入し,その判読に基づいて新たな活断層分布図を作成した.基図はフィリピン国家地図資源情報局発行の縮尺5万分の1地形図である.さらに,調査地域全域の断層変位地形調査を行った.その結果,San Jose断層やSan Manuel断層において新たな地表トレースが確認され,また断層の分岐形状に関しても新たな知見が得られた.この活断層図を基に,中田ほか(2004)で提示された起震断層モデルを適用すると,ルソン島のフィリピン断層帯は3つのセグメント(起震断層)に分割することができ,被害記録から推定される歴史地震の破壊領域ともよくあうことが判明した.このセグメンテーションモデルを検証するため,個々の活断層の活動履歴の解明を目的としたトレンチ掘削調査を行った.Digdig断層上の2地点で行った掘削調査では,過去2000年間に4回の活動の痕跡を見いだすことができた.San Jose断層上では1地点で掘削を行い,過去2500年間に少なくとも3回の活動の痕跡が認められた.Gabaldon断層のトレンチ掘削調査では,最新活動時期が17世紀以降に限定されることが明らかとなり,1645年の大地震がbabaldon断層の活動によって引き起こされたことがほぼ確実となった.すなわち,最新の地震サイクルでは,San Jose断層・Digdig断層・Gabaldon断層は別々に破壊しており,断層形状に基づくセグメンテーションモデルを支持する結果が得られた.またルソン島南東部のMayon火山およびIrosinカルデラの第四紀後期噴出物の層序学的・年代学的調査を行い,今後これらの火山の噴出物が広域火山灰として活用できる可能性が示された.
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