研究分担者 |
益田 晴恵 (中屋 晴恵) 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70183944)
赤井 純二 新潟大学, 理学部, 教授 (30101059)
千葉 仁 岡山大学, 理学部, 教授 (30144736)
中屋 眞司 信州大学, 工学部, 助教授 (70313830)
奥平 敬元 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20295679)
前島 渉 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20173700)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183632)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2004年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
ガンジス・ブラマプトラ・メグナデルタにおけるヒ素含有地下水の形成機構について,多くの調査から種々の溶出機構が示され,現在もなお議論が行われている.本研究では,この形成メカニズム解明のため,地下水の地球化学的特性把握と帯水層構造調査を行った.ダッカ20km東方地域で,沖積低地・台地縁辺部230箇所井戸での雨季末期・乾季末期の地下水採水調査,試錐による地層試料採取・帯水層分布確認・透水性把握・地下水位観測,三次元帯水層モデルによる地下水流動シミュレーションを実施した. その結果,完新統砂層からなる埋没された谷・放棄流路構造を伴う帯水層中に島状にヒ素を含む地下水と含まない地下水の出現する地域が近接して現れ,塩化物イオン濃度が低い地下水ほどアンモニウムイオン・全鉄イオン・総ヒ素濃度が高く,井戸のケーシングパイプに沿って,あるいは井戸周辺で表層水が垂直方向に浸透する流れが局所的にあることが明らかとなった.地下水シミュレーションの結果,雨季-乾季の水位変動上部帯水層のうち埋没谷を充填する部分は,雨季乾季の季節変動にほとんど影響を受けず停滞状況にあることが確認された.連続コアの分析から,ヒ素の濃度と雲母の出現頻度に良い相関が見られた.形態別分析により,堆積物中のヒ素の形態は大部分が有機態と難溶態であるが,堆積物はほとんどイオウを含まないため,難溶態ヒ素は大部分がケイ酸塩であると推定された.全岩化学分析値から,ヒ素濃度と鉄・アルミニウム濃度には良い正の相関が見られ,ヒ素を含む一次物質は黒雲母であると強く示唆される. 以上を総合すると,ヒ素含有地下水の形成は,浸透する地下水による黒雲母の分解(化学的風化作用)により生じ,その分布は帯水層構造によって生じる停滞と井戸周辺の水利用に伴う流動が大きな要因となっていると説明できる.このようなヒ素汚染地下水形成機構に関する説明は,全く新しいものである.
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