研究概要 |
初年度では,モンゴル凍土地盤における季節凍上を実測するために,観測地点の選定および計器の設置を行い,凍上量等の計測を開始した.この計測は平成15年10月から16年1O月まで行われ,以下の結論を得ている. 1)永久凍土層の有無によらず,地下水位の高い地盤で大きな凍上量が観測された. 2)凍上量は,凍上性を示す粘土層などの地盤で大きく生じ,砂層などの凍上性の低い地盤では小さく生じている.しかし,砂層が下面に存在し粘土層が上面に存在する多層地盤では,砂層で吸水が行われるために,粘土層のアイスレンズの形成が促進され,結果として大きな凍上量が生じることが分かった. 3)凍結速度が速い場合凍上量が小さく,凍結速度が遅い場合凍上量が大きくなっている.すなわち,地盤が緩慢に凍結する場合,大きな凍上量を生じている. 4)以上より,地下水位が高く粘土層が表層に存在し,凍結が緩慢に行われる場合,大きな凍上量が発生するといえる. 一方,現地で採取されたサンプルを用いた室内凍上試験を行い,モンゴル凍土地盤の凍上性を検討した.試験の結果,凍上量が凍結速度に大きく依存する地盤であることが分かった.また凍上試験により得られた凍上率を用いて,凍上量の実験式である高志式のパラメータを決定した.また提案式に含まれるパラメータに対して感度解析を行った結果,上載圧と凍結速度が凍上量に対して支配的であることがわかった. 以上より,モンゴル永久凍土地盤の季節変動を把握することができたが,さらにはパイプライン敷設のための設計指針として,サンプリングにより凍上量の予測が行える可能性があることが明らかとなった.
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