配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2003年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
研究概要 |
本研究は,海浜・海洋環境の鋼構造物の腐食特性と鋼材の耐食性を定量的に調べる方法を確立するとともに,北から南までの海岸線を有する中国沿岸での環境の腐食特性と鋼材の耐食性を調査し,海浜・海洋の社会資本としての鋼構造物の耐久性を増すための方策を得ようとするものである。また,これらの構造物の海中,特に海底土中における微生物による腐食について,気候,土壌,環境汚染等に起因する地域的な差異がないかを確認することも目的のひとつである。 本研究では,筆者らが開発した交流インピーダンス法を用いた腐食モニターによって昼夜,季節による腐食速度の変化をモニタリングし,モニターに蓄積したデータをメモリーカードに記録し数ケ月毎に回収した。 中国沿岸地域での海浜環境における鉄鋼材料の腐食に関して,同心円状のリング・ディスク状電極により種々の鋼材について,ほぼ10ケ月の連続的な腐食モニタリングを試み,長期間にわたり安定したデータを得ることができることを実証した。腐食モニターに関して,DFIによる積分回数の設定が安定した計測にきわめて重要であることが示された。 細粒鋼(Al-Si鋼),細粒鋼(Al-Si-Ni鋼),海浜耐候性鋼(3%Ni鋼),一般耐候性鋼,炭素鋼,ステンレス鋼(SUS-304)の腐食速度の変化を中国国内の4地点で連続的にモニタリングした結果,ステンレス鋼以外では平均気温と降水量が腐食速度に大きく影響することがわかった。一方,ステンレス鋼では不働態皮膜の崩壊と局部的な腐食の発生に影響を与える飛来塩粒子の量が重要で,曝露サイトの離岸距離(海岸からの距離)に依存して腐食速度が変化した。 中国沿岸での微生物腐食,特に環境汚染と微生物腐食の関係について本研究では明確にできなかったが,研究協力者の海洋研究所(青島)の侯教授のグループの研究で海底土中での腐食に関して多くの研究がなされ,今後明確になるものと思われる。本研究においては,丹治らのグループがカソード防食による電流・反応がバイオフィルムの初期形成を抑制し,全体的に微生物腐食を抑える可能性があることを初めて明らかにした。
|