研究課題/領域番号 |
15406022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
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研究分担者 |
伊藤 俊弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20271760)
中木 良彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90322908)
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
2004年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2003年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 砒素中毒症状 / 飲料水 / 皮膚角化症 / 皮膚色素異常症 / メチル化能 / 皮膚角化細胞 / 繊維芽細胞 / 性差 / 個体差 / 中国 / 細胞培養 / 動物実験 |
研究概要 |
中国包頭の飲料水を介する慢性砒素中毒フィールドにおいて砒素曝露と皮膚症状について解析したところ、男性において皮膚症状を有するオッズ比が高く、特に色素異常症で顕著だった。また、血液および尿中の化学形態別砒素(無機、モノメチル、ジメチル)測定結果から推定した砒素メチル化能について1stメチル化、2ndメチル化ごとに皮膚症状との関連を検討した。男性が女性に比して2ndメチル化が劣る傾向があった。性差を考慮せずに血液検体から推測した1stメチル化が高く、2ndメチル化が劣る例で皮膚色素異常症の症度が強い傾向があった。同じく尿検体から推測した2ndメチル化の劣る例で、手掌・足底の角化症、皮膚色素異常症の双方の症度が強い傾向があった。性差を調整した上での血液中化学形態別砒素と全皮膚症状の有症に関して、モノメチル砒素が最も高いオッズ比を示し有意であり、次いでジメチル砒素が高いオッズ比を示す傾向があった。すなわち1stメチル化に比して2ndメチル化が劣る結果として、モノメチル砒素が体内に比較的高濃度となる者において砒素関連皮膚症状の程度の高いことが示唆された。特に皮膚色素異常にその傾向が顕著だった。一方、飲料水の改善改水後1年でかなりの症状の改善が見られたものの、その後の改善の度合いは緩慢であった。改善の度合いにメチル化能、砒素排泄能は関連が見られなかった。 実験室in vitro実験では、正常ヒト皮膚角化細胞が比較的低濃度(1,4,8マイクロM)の3価無機砒素により増殖活性が亢進し、その亢進に細胞自身が産生するGM-CSFおよびTGF-αが関与することが確認された。また、濃度依存的に娘染色体交換数の増加が見られ発癌への関与が示唆された。マウス膠原線維細胞も低濃度砒素により増殖活性が亢進した。以上より、砒素による角化細胞・線維芽細胞の増殖亢進が皮膚角化症の発現と関連することが示唆された。
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