研究概要 |
実数の{0,1,⊥}-無限列を用いた表現(グレイコード表現)と{0,1,⊥}-無限列上で動作する非決定性多ヘッドマシン(IM2-マシン)を用いた計算概念に関連して,プログラミング言語,ドメイン理論,および位相空間論の分野において次のような研究を行った。 1.IM2マシンの機能が,ガード機能をもつ並列論理型言語により実現可能であること。IM2マシンと並列論理型言語の表現能力は,ボトム入り文字列全体を考えれば異なるが、ある種のドメインの極限要素の集合の極小元集合(実数の集合は、そのように表される)に対しては、等しいことなどを示した。 2.ボトム入り文字列の上の計算を、関数型言語を拡張することにより実現する方法を考案した。McCarthyのambオペレータを制限してグラフ簡約で実現することにより、逐次実行型の関数型言語で1も、実数計算に必要な演算が実現できることを示した。また、Haskellシステムを改良することにより、そのインプリメントを行った。 3.位相空間の次元と表現に必要なボトムの個数が一致するという以前の結果を,代数的ドメインに一般化し,代数的ドメイン上の次元論を展開した。 4.コードと位相空間のsubbaseの関係について,グレイコードなどの計算に用いることのできる{0,1,⊥}-無限列表現は,実数空間に,regular open setのペアを基礎とするsubbaseを生成するが,グレイコードは,そのようなコードの中でも特に,冗長性がないという特徴を持つことを示した。そして,それに対応する部分基の性質として,independent, canonically-representing, full-representingという3つののものを考え,それらの関係について調べた。
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