研究概要 |
本研究で提唱しているオーバーラップ制約付き分解法は,領域4分木の正規化という問題に対して有効であることが知られている.そこで、オートマトン理論でよく知られている決定性有限オートマトンの状態数最少化アルゴリズムをグラフ圧縮技術の一種と見なし,領域4分木のポインター構造を簡略化するアルゴリズムとして適用することで4分木圧縮形式の実用性を検討した。結果として,2値画像ではGIFやPNGといった既存の画像圧縮形式に対して圧倒的に優位な圧縮率を達成できることが分かった.次に,矩形の紙を規則的に折り畳んだ際に生成される図形パターンの生成過程をモデル化し,行列Lシステムと呼ぶ新たな形式文法を提案した。更にこのような折り畳み操作とともに紙を切断するという操作を併用することで,これまで知られていない多種多様な2次元画像を生成し得ることを計算機シミュレーションによって確認した。 一方理論面においては,2次元交代性インクドット有限オートマトンは2次元非決定性ペブル有限オートマトンよりも真に受理能力が高いかどうかという長年の未解決問題を解決した。更に,loglog n以上log n未満の領域計算量において、1ペブル交代性チューリング機械は非決定性のものより真に受理能力が高いことを示した。また,2次元画像を回転して走査した結果を総合した上で受理の可否が決定されるオートマトンの認識能力に関し,回転入力をもつ3方向2次元決定性ならびに交代性有限オートマトンにおいて,結合するオートマトンの個数に関する受理能力の階層性,AND型とOR型の比較不能性等の結果が得られた。
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