研究概要 |
巨大な探索空間をもつ人工知能的応用問題に対して、高性能ハードウェアを生かした探索アルゴリズムの研究は非常に進歩してきた。そのプログラムの基礎技術の一つに局面表技法がある。本研究の目的は、この局面表技法を中心にして、高能率で一般的な新しいデータ構造と探索法を開発し、理論解析と応用例によって新しい技法を評価するとともに、未解決問題の解決を試みるものである。本研究で取り上げた応用問題は、ゲームHexの必勝手順の探索、数理パズル問題の自動生成、画像の探索収集などである。本研究の最大の成果として、Hexにおける必勝手順を構成する課題に対して、ユニオン連結という概念を導入した。この概念に基づく局面表技法を応用することによって、8×8の盤の具体的な必勝手順をはじめて構成した。この結果は、van den Herik (2002)があげたゲーム研究の大きい未解決問題を解決した。その後その概念を一般化し精密化した新しい技法を考案し、さらに進んだ結果を発表した(GPWワークショップ,2006)。また、D.E.Knuth (2000)のDancing Linksと筆者(1996)のランダム簡約法に局面表技法を組み合わせたアルゴリズムを開発し実現することによって、Number Placeの最少ヒント数問題の組織的探索、協力詰将棋問題の自動生成を行った。またPCクラスタによる並列分散計算により画像の探索収集を行った。
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