研究概要 |
多重パーティ計算は,多数の計算機でネットワークが構成されているような分散システムにおいて,このネットワークを利用する複数のユーザ(またはグループ)のデータを引数の値として1つの関数を計算し,その結果を各ユーザに知らせることである.この問題の目的は,このネットワーク上で敵対者数,敵対者に支配されたユーザ数,そしてネットワーク上または計算機で生じる故障数が前もって定めた数より少ない場合に,ユーザのデータを漏洩することなく計算を行い,結果をすべてのユーザに知らせ,計算結果の正当性と安全性を保障することである. このため,多重計算パーティ計算の基本となるプロトコルの設計とその解析を行った.プロトコルの解析では安全性,故障耐性,効率等の検証に必要な数値実験を本科研費で購入した計算機と既存の計算機を用いて分散ネットワークを構築して行った.この分散システムは実計算機台数以上の計算機台数を仮想的に構築することにより,大規模な分散システムに対する実験を行える.本研究ではネットワークトポロジをハイパーリングネットワークとセミハイパーリングネットワークに限定し,設計したプロトコルの解析を行った.これらのネットワークトポロジはTom Altman教授により詳細な解析が行われている. しかし,実施計画であった多重パーティ計算のインターネットへの応用やプライベートデータベースに関連したトランザクションへの応用等の検討を行うことができず,残念ながら有用な研究成果を得られなかった.
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