研究概要 |
本年度は,診断用テストベクトルの圧縮法,オープン故障に対する故障診断法,ゲート内部ブリッジ故障に対する故障診断法の開発を行った. (1)診断用テストベクトルの圧縮法 組込み自己テストでは,非常に多くのテストベクトルの印加を必要とする.そこで診断のために必要な,少ない数のテストベクトルを選択する手法を開発した.これによって,診断時間の短縮,テストベクトルや出力応答を保存するためのメモリ量を削減することが可能になる.開発した手法では,与えられたテスト集合に対して,区別可能な故障ペア数を減少させることなく,できるだけ少ないテストベクトルを選択する.まず,1つのテストベクトルでしか検出されない故障を抽出し,それらを検出するテストベクトルを選択する.次に,一部の故障ペアを選択し,それらを区別するようなテストベクトルを選択する.その後,別の故障ペアの選択と,それらを区別するテストベクトルの選択を繰り返し行う. (2)オープン故障に対する故障診断法 信号線のオープン故障に対する故障診断法を開発した.この研究では,オープン故障が存在する信号線の論理値が,隣接信号線の影響により決定するような故障動作を仮定した.開発した故障診断法では,検出テストと非検出テストを用いて故障シミュレーションを行い,少ない数の故障位置指摘を実現した. (3)ゲート内部ブリッジ故障に対する故障診断法 ゲート内部のトランジスタノードが短絡するようなゲート内部ブリッジ故障に対する故障診断法を開発した.この診断法では,まず検出テストを用いてゲートレベルシミュレーションを行い,故障が存在するゲートの候補を抽出する.次に,ゲート入力値を調べ,ゲートの候補内に存在する内部ブリッジ故障を推定する.さらに非検出テストを用いて,内部ブリッジ故障の候補を削減する.
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