研究概要 |
高輝度LEDを用いて被写体を照明し,輝度を時間的に広帯域変調させた状態で撮影することによって,被写体の動きや手ブレによりたとえ画像にボケが生じても,ディジタル画像データ上での復調処理により高精細なブレ補正を可能にする方式を提案した。その最大の特徴は,撮像前の光学系でのエンコード処理と撮像後のディジタル画像データに対するデコード処理において,撮影時に生じたブレを撮像後に完全にキャンセルできるようにエンコードおよびデコードのやり方を工夫している点にある。カメラ実験では,移動ステージにより被写体を高速移動させることで人工的に各種のブレを生じさせた撮像画像に対して,上記ブレ補正方式の有効性を検証している。特にブレ量と補正画像のS/Nの関係を調べた結果,ブレ量が少ない場合は,変調をかけることによる輝度の低下により提案方式の方がむしろ劣るのに対して,ブレ量が多い場合は,広帯域に被写体情報が記録される効果が支配的になり提案方式の優位性を確かめることができた。 一方,平行移動と拡大縮小の和として表した任意の像の動きに対して,画像系列からオプティカルフローを推定したときに,画像内のすべての位置で平均的に誤差が最も小さくなるように求まるための最適な画素配列についての考察も行った。一様/対数極座標系(画像の中心付近では一様座標系をとり,周辺部にいくにしたがって対数極座標系をとるような複合座標系)すなわち人間の網膜の受容野分布とほぼ同一構造をとることを予想し,それを解明すべく研究を進めてきた。その過程において,フーリエ変換に不変な2次元関数族(自己フーリエ画像)を偶然に発見した。この種の関数族はこれまでに数種類の固定的な関数しか知られていなかったのに対し,任意の2次元関数を用いた自己フーリエ画像の構成法を一般定理として与えることに成功した。
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