研究概要 |
人間・機械系を取り扱う場合,人間と機械の間を取り持つインターフェイスの設計が非常に重要となる.このインターフェイス構築の計画段階において,その機械を操作する人間を有る程度限定して設計されるのが一般的となるが,人間が非常に多様化しており,その特性を限定するわけにはいかないのが実情である.他方,近年ユニバーサルデザインの重要性が認識され,数々の機械や施設等の設計に展開されている.これらの観点から,ヒューマン・マシンインターフェイス(以下HMI)もユニバーサル化する必要がある.しかし対象となる人間の特性が大きく異なる場合,平均的な特性に合わせる必要が有り,必ずしも万人に向くインターフェイス設計とはなっていない.この意味から個々の人間を観測し,その人間に最も適した環境を展開する知的インターフェイスが構築できればユニバーサル化が実現できることから,対象とする人間をどのように観測するかが重要なポイントとなる.本研究は,特にこの部分に注目し,人間をいかに観測し,その特性を把握することを目的として実施された.本研究では対象とする機械を,もっともなじみの有る車両として研究を展開した.このためドライビングシミュレータおよび実車両を用いこれらの検討を行った.続いて,知的HMI構築のため,HMIを用いて提示される情報量が人間にどの程度伝達されるかに関する検討を情報エントロピの考え方を用いて行なった.その結果,伝達しうる情報量の大きさについて解析を行った.次に,これら車両を操縦する場合の人間の情報処理について検討を行い,その結果,フィードフォワード成分ならびにフィードバック成分によりその動作が記述できることを示した.また,この記述により,個々の人間の特性の違いについて明らかにすることができることを示した.これらにより,知的HMI構築のための,基礎データを取得し,今後の運転支援システム構築における重要な情報を得ることができた.
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