研究分担者 |
横井 紘一 信州大学, 繊維学部, 教授 (50334884)
大谷 毅 信州大学, 繊維学部, 教授 (00092867)
橋本 稔 信州大学, 繊維学部, 教授 (60156297)
高寺 政行 信州大学, 繊維学部, 教授 (10163221)
上條 正義 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70224665)
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研究概要 |
本研究では従来の大量生産モデルに代わる新たな製品設計生産システムの開発を行なった.我々のモデルでは近年様々な分野でコスト削減やQRを目的として導入されているSCMをさらに発展させ,消費者とサプライチェーン(SC)との関係性を強化し,生産者と消費者が直接対話をしながら一気通貫で製品設計を行なうシステムである.ダイナミックデザインシステムの開発には種々の要素技術が必要である.主な要素技術としては,情報を一元的に管理するための情報の標準化技術,多品種少量生産を実現する生産技術,そして消費者の嗜好や満足度を設計に反映させる技術等が挙げられる.我々はその中でも,消費者の嗜好や満足度を設計に反映させる技術としてクロスシミュレーションに注目し,女性用ブラジャーを取り上げてダイナミックデザインシステムの可能性を検討した. 我々はまず,クロスシミュレーションにおける消費者の言わば"分身"である人体モデルを開発した.開発した人体モデルは従来の3次元形状データから作成された人体モデルとは異なり,MRIを用いて人体皮下組織を忠実に再現した有限要素弾性モデルである.また,人体モデルに接触させるブラジャーモデルは3次元形状データを元に有限要素ブラジャーモデルを作成した.シミュレーションでは有限要素法を用い,着用者の満足度(快適感)に多大な影響を与える接触圧と皮膚変形の予測を行なった.検証の結果,シミュレーションは接触圧,皮膚変形ともに実際の着装状態をある程度再現していることが確認された.このことはシミュレーション技術により設計段階で消費者が製品に対する満足度をSCとの間で共有可能なことを示すものであり,ダイナミックデザインシステム構築の一翼を担う技術として期待される.
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