研究課題/領域番号 |
15500168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
認知科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大浦 容子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40092671)
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研究分担者 |
森下 修次 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (80323947)
波多野 誼余夫 放送大学, 教育学部, 教授 (60049575)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 音楽演奏 / 熟達化 / メンタルモデル / 練習方略 / 認知心理学 / 合奏 |
研究概要 |
対人コミュニケーションの研究から、送り手が「受け手のメンタルモデル」を持つことの重要さが指摘されているが、演奏者のアイディアを聞き手に伝えることが求められる音楽演奏領域でも、「聞き手のメンタルモデル」ないしはそれと同等の機能を持つ何らかの装置の獲得が欠かせないだろう。本研究では「音楽演奏におけるメンタルモデルの構成と利用」に焦点を当て、メンタルモデルが熟達に伴ってどのように獲得されるか、メンタルモデル構成による演奏の変化はあるか、どのような訓練がメンタルモデルの利用を含むreflectiveな練習態度の獲得を促すかを検討した。主な結果は以下のとおりである。(1)大学生を対象に行ったピアノの練習過程の分析から、卒然達者は彼らの演奏を「演奏が聞き手にどう聞こえるか」という観点からreflectiveにチェックするが、初級者はそのような作業をほとんど行わないことが明らかになった。(2)職業的ピアニストに複数の異なる聞き手を想定させ演奏させた実験からは、彼らが想定された聞き手が持っていると考えられる特徴に合う形に演奏を(意図せずに)調整していることが明らかになった。これらの結果は、熟達に伴って「聞き手のメンタルモデル」の獲得・利用が進むことを示唆している。(3)ピアノの準熟達者の大学生に、ビデオに録画されたチェロの演奏に合わせて伴奏することを求めた実験では、ぎこちない伴奏しかできない者は映像や記憶に頼った調整を試みていたのに対して、優れた伴奏をした者は映像に頼ることなく演奏からチェロ奏者の呼吸を読み取り、自分の演奏を適切に調整できていたことが明らかになった。この結果は、優れた伴奏者が適切なメンタルモデルを構成・利用していることを示唆している。(4)「reflectiveな練習態度」は、楽曲の構造特徴に注目するよう教示した比較的短期間の訓練によって強めることが可能であることが、音楽科大学生を対象とした実験から明らかになった。
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