研究概要 |
欠損値をもつデータなどのような不完全情報に基づく統計的推測において,その推測の基となる効果的な統計的モデルを構築し,そのモデルにおける推定値の誤差について有効な推定法を開発することが本研究の目的であった. ポアソン混合モデルに対してEM-algorithmによって得られる推定値の分散を観測情報行列による推定値とBootstrap法による推定値を比較検討した.菊池と野間口は研究成果を「EM-algorithmによる推定値の精度-ポアソン混合モデル-」と題して,日本計算機統計学会第17回大会(2003.5)において発表した. 混合正規モデルと潜在マルコフ正規モデルについて,EM-algorithmによるパラメータの推定問題と推定値の分散の観測情報行列による推定について研究を行った.菊池と野間口は研究成果を「混合正規モデルと潜在マルコフ正規モデルの推定値の分散」と題して,日本計算機統計学会第20回大会(京田辺市,2006.5)において発表予定である. 菊池が平成15年度より厚生労働省精神・神経疾患研究委託費による研究事業の研究分担者になったのを受けて,臨床試験データへのEM-algorithmの応用を研究テーマに加えた.生存関数の推定問題においてWeibull分布を一般化したGamma-Weibull分布や一般ガンマ分布を仮定した場合についての推定法を開発し,菊池と野間口は研究成果を「EM-algorithmによる生存買う数の推定」と題して,日本計算機統計学会第18回大会において発表し,菊池,野間口,安楽は「EM-algorithmによる生存関数の推定」と題して,上記研究委託費「筋ジストロフィーの治療と医学的管理に関する臨床研究」論文集(2004.3)に発表した.このテーマについては,推定値の分散の推定,数値例の解析による検証などがまだ未解決の問題として残っており,研究を継続する予定である.
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